高良健吾 写真集そして

写真集「高良健吾 海 鈴木心」は、お陰さまで書店で大きく扱ってもらい、映画「白夜行」の公開にあわせて、新宿ピカデリーや渋谷HUMAXでも販売中。

初めて高良さんに会った打ち合わせのときだったか、
こんな言葉が心に残っている。

「たくさんの人に、映画館に足を運んでほしいといつも思ってる。
 見ないひとにとっては、その映画は存在しないのと同じだから。」

本もそう。若いひとも買えるようにできるだけ安くなるといいな、とも。

心をこめてつくったものを伝えたいと願うこと。存在しないのと同じ、とは、表現者としての覚悟でもあると思う。

少し飛躍するが、赤々舎の写真集が倉庫に積まれているかぎり、それは存在しないのと同じこと。最近、つよくそう思う。
情報としてではなく、見てほしい。
たとえば、5000円という定価の写真集がうちにはかなりある。卸値や流通経費から考えると、定価の60%が出版社に入るとみていい。1冊あたり約3000円。実はこれは、うちの場合、ほぼ制作原価だったりする。制作原価が上回っていることすらある。写真集はほんとにコストがかかる。まっとうに定価をつけるなら、1万円ぐらいをつけるべきで、そんなことは百も承知なのだが、それができない。若いひとが思い切って買ってくれるにはこれが上限のように思うから。 もっと部数をたくさん刷れれば、もっと定価を下げてもいける。その土台の部分から挑戦しながら、定価と格闘しないといけない。