小野啓写真集『NEW TEXT』制作応援プロジェクトにご参加くださった
写真家 齋藤陽道さんと、編み物作家の那須早苗さんよりプロジェクトへメッセージをお寄せいただきました。
ぜひご一読ください。
齋藤陽道さん
那須早苗さん
このプロジェクト(→*)のことを知った時、「この本を、私は誰に贈りたいのだろう?」と考えていたら、高校生の自分を思い出した。あまり思い出したくなかったから、久しぶりのことだった。
高3の朝。学校から家が遠かったので、私はどうしても早く教室に着いてしまった。席について、多分、本でも読んでいたのだろう。部屋には他に二人の子がいて、うれしそうに、楽しそうに、 夢中でおしゃべりしている。推薦で大学も決まった彼女らの、春から始まる新しい生活のこと。着る服のこと、住む場所のこと、これから出会うであろう新しい人達のこと、それから・・・なんだっただろう。どれも私には無縁のことだった。高校を出たら働くと決めていたから。経済的な理由で、そうしなくては自分のしたいことが出来なかったから。学びたいことは望めば出来るというもの でもないのだと気づいたのは、その頃だった。部屋に響くあかるい声が遠かった。次元の違う場所から聴こえてくるような気がした。
砂を噛むような思いでその場にいた私に、この本をそっと差し出してあげたい。もちろん過去の私に何かすることは出来ないけれど、今を生きる高校生にも、それぞれに抱えているものがきっとある。その人達の傍らにこの本があったら・・・そう思って、少しばかりですが応援させていただくことにしました。誰だって、いつだって、人には抱えているもの、背負っているものがあると思うけれど、高校生の頃は誰しもが、人生を左右するような(方向を決めてゆくような)選択をしなければならない場面があって、それぞれに葛藤を抱えているような気がするのです。本の中の、知らない誰かの存在が、見ている人を 強くする。頁の中にいる、ただ「いる」ということに、励まされるような気がする。そんな本を、差し出してあげたいのです。
写真家 齋藤陽道さんと、編み物作家の那須早苗さんよりプロジェクトへメッセージをお寄せいただきました。
ぜひご一読ください。
齋藤陽道さん
那須早苗さん
このプロジェクト(→*)のことを知った時、「この本を、私は誰に贈りたいのだろう?」と考えていたら、高校生の自分を思い出した。あまり思い出したくなかったから、久しぶりのことだった。
高3の朝。学校から家が遠かったので、私はどうしても早く教室に着いてしまった。席について、多分、本でも読んでいたのだろう。部屋には他に二人の子がいて、うれしそうに、楽しそうに、 夢中でおしゃべりしている。推薦で大学も決まった彼女らの、春から始まる新しい生活のこと。着る服のこと、住む場所のこと、これから出会うであろう新しい人達のこと、それから・・・なんだっただろう。どれも私には無縁のことだった。高校を出たら働くと決めていたから。経済的な理由で、そうしなくては自分のしたいことが出来なかったから。学びたいことは望めば出来るというもの でもないのだと気づいたのは、その頃だった。部屋に響くあかるい声が遠かった。次元の違う場所から聴こえてくるような気がした。
砂を噛むような思いでその場にいた私に、この本をそっと差し出してあげたい。もちろん過去の私に何かすることは出来ないけれど、今を生きる高校生にも、それぞれに抱えているものがきっとある。その人達の傍らにこの本があったら・・・そう思って、少しばかりですが応援させていただくことにしました。誰だって、いつだって、人には抱えているもの、背負っているものがあると思うけれど、高校生の頃は誰しもが、人生を左右するような(方向を決めてゆくような)選択をしなければならない場面があって、それぞれに葛藤を抱えているような気がするのです。本の中の、知らない誰かの存在が、見ている人を 強くする。頁の中にいる、ただ「いる」ということに、励まされるような気がする。そんな本を、差し出してあげたいのです。