きのう小田急線下りで擦れ違った男はだれなのか。先月、秋葉原の自動販売機の裏側で眼を合わせた女はだれか。
そのひと欠片の動きの中に、自分らしき者の動きの中に、
ある幻想を形づくる、その先のまるで嘘のように現実に顕われる動きの中の中心が、
いつもここにそこに向こうに蠢いてある。
限定された現象体としての器の動静が我々となり、我々はまたひとつの徴候にすぎず、
徴候が徴候と絡み合い前のめりに展開されるとき、晒されるとき、現実と呼ばれる面が開く。
こんなはずじゃなかったんだと吐くときの、ほら思った通りだろとほくそ笑むときの、
洩れ出す醜い全体を纏った生きものが自分を追いかけ廻したあげく、すぐそこの電信柱の陰に潜む。
20101205.0946 黒田光一
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黒田光一 写真展 こころ
会 期
2010.12.10(金) - 12.26(日) 金、土、日のみ 18:00~20:00
初日12.10(金)は18:00~22:00、酒、煮込み(それ以外の日も酒場です)。
会 場
lodge 東京都台東区千束4-45-3(東京メトロ三ノ輪駅歩8分、浅草駅15分)
http://kurodakoichi.jimdo.com/