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もともとはふとん工場だったAKAAKAの夏は過酷だ。2階の事務所がとくに酷くて、蒸し風呂のような熱気が覆う。むしろ1階の土間がひんやりする。

その氷室のような1階スペースで、今週末、サンプルセールを行います。
赤々舎の写真集の多くはシュリンク(ラップのような)で封がされていますが、店頭では中を見ていただくために、サンプルをお付けするケースが多いのです。このサンプルもきれいにくるみ直したりしているのですが、いったん封を開けたものなので、市場では販売致しません。
そうしたサンプル本や、ほんの少しの傷、汚れのある本を、半額以下でお分けしたいという2日間です。つくった本は、多少傷んだとしても一冊一冊の本なので、もし求めてくださる方がいるなら有り難いことです。

土、日とも、12時〜20時に開いております。
場所がわからない方は、清澄白河の駅からお電話ください(03 5620 1475)

そうそう、特筆すべきは「ジュリアン・オピー」、あの大冊を今回は数冊、ご用意できました。(市場にもほとんどないこの本は、原価も高くて、半額とはいきませんが、、、)

新しいスタッフの山田こず恵、古賀希望もお待ちしています!


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梅雨空を吹き飛ばすようなニュースが飛び込んできました。

小社刊行『日本写真集史1956-1986』が、
あのアルルの写真フェスティバルで標記の賞を受賞致しました。

著者である金子隆一先生、アイヴァン・ヴァルタ二アンさんに心よりお祝い申し上げます。

この本の編集者でもあるゴリーガブックスのアイヴァンさんより以下のようなお知らせが届いていますので、ご覧ください。
写真にかかわる方なら必ずや欲しくなるであろうこの本、私は自分が欲しかったから、この本の刊行を決めたのでした。

>>ご購入はこちらへ



* * *

さてこのたび、弊社で手がけてきました『日本写真集史1956-1986』が、フランスで開催されておりますアルル国際写真フェスティバルにて、Historical Book Award 2010(2010年度最優秀賞歴史部門)を受賞することが、7月10日に正式発表されました。
Les Rencontres d'Arles: The International Photography Festival 

また、同書は、今年5月にBritish Journal of Photography主催の世界中で刊行された写真に関する書籍を対象に贈られる「国際写真集最優秀賞」の最終選考4作品の中に選ばれております。日本でも、著者の金子隆一氏が長きにわたる写真研究活動とその研究成果を上梓したことによる写真界への貢献が認められ、2010年度日本写真協会賞(学芸賞)を受賞いたしました。

こうして、日本、イギリスに続いてフランスでも名誉ある賞を賜ることができ幸甚です。これもひとえに今まで皆様にお力添えいただいたおかげと、感謝の念に堪えません。同時に各賞の受賞は、日本における写真表現や写真集が類い稀な資質と可能性を持っていることが国際的に評価されたことも意味します。日本の写真表現とその独自性――それはまさにわれわれが本書を通して伝えたかったことでした。本書は昨秋に、日本語版(赤々舎)、英語版(Aperture Foundation)、フランス語版(Editions du Seuil)が刊行されております。機会がございましたら、ぜひともご高覧いただきたく思っております。

今後も、日本で素晴らしい写真と写真集がつくられることを切に期待しております。弊社も日本の写真文化の今後の発展を祈りつつ、微力ながらその一端を担えるよう、鋭意努力をしてまいる所存です。

なお、来る8月に小社ウェブサイトを大幅にリニューアルいたします。本書に関連する動画インタビュー、映像、ニュースなど、新しいコンテンツも次々にアップしていく予定です。こちらもあわせてご高覧いただければと思います。

www.goliga.com


ゴリーガブックス
取締役アイヴァン・ヴァルタニアン
Ivan Vartanian


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7月24日(土)、25日(日)の2日間、ここ清澄白河のAKAAKAでは、本のサンプルセールを開きます。
赤々舎の写真集をサンプル本にかぎり、大幅に割り引いてお出ししますので、ぜひ覗いてみてください。時間は、12時〜20時となります。

でもサンプルだけでは、タイトルが限られてしまうな。
写真家のみんなの蔵書からもお出しできるかもしれません。
写真集を1冊といわず、2、3冊抱えて帰っていただきたいこの企画、より詳細をつめてまたご案内します。
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昨日記した畑智章写真集の表紙はこれです。
赤い方が英語版(POWER HOUSE刊行)で、白い方が日本語版(赤々舎刊行)です。
当初は、赤い方のデザインが上がってきてそれを両社共通で、と思っていたのですが、
時間が経過するうちに、私は少し別のものを望むようになりました。
たぶん、畑さんから最初に写真を見せてもらったとき、いちばん胸に響いてきた部分、
彼らの「誇り」のようなものをより鮮明に表したかったのだと思います。
誇り、矜持は、この被写体であるドラァグクィーンたちばかりでなく、畑さんの写真にも、
町口景さんのデザインにも通う背骨のようなものだから。

さて、今日、畑さんからいただいたメールの言葉が紹介にもぴったりだったので、本人の
紹介を得て、ここに引用させていただきます。


日本のドラァグクイーンは80年代のNYのクラブシーンを模倣すると言う形でスタートし、日本と言う
まさに独自の文化を持つ孤島で進化しました。僕はシモーヌさんが始めた頃のドラァグのシーンを一
部の映像でしか見た事はありませんが、恐らく今回の写真に関して言えば、そのシーンの黎明期から
爛熟期に当たる、狂乱の時代を切り取る事が出来たものだと思っています。そしてその日本のドラァ
グ、というのが、再びNYに逆輸入と言う形で戻ってゆき、出版と言う形で再び世界へと流れてゆく、
という循環を作り出せたのであれば、僕の写真家としての使命はほぼ達成されたと言っても良いかも
しれません。

そういう意味で、今回の本を見た若い世代の子達が、付け睫毛とウィッグで武装し、欺瞞に満ちた社
会に対して全く別の「欺瞞で」それを無効化し、笑い飛ばし、陳腐な歌をリップシンクしながら、日々
自分たちに押し付けられる「何か」に対して抵抗し、それを破壊していくーそうやって新しい世界を
自らのものにするーそういうきっかけになって欲しいと思います。

そういう点で本のお値段がお手頃、というのも本当に良かった(笑)。高い本はお金持ちの年寄りしか
買えませんから。やっぱりこの本は若い世代に見てほしいですし、そうあるべきものだと思います。

時間はかかりましたが、こうやって形になったものを見ると、やはり感慨がありますね。
いやもう本当にありがとうございました。


畑智章

今秋、赤々舎は共同出版による企画を2冊刊行致します。

畑智章 「The Night Is Still Young」(夜はまだ早い) NYのPower Houseとの共同出版

ジョナサン・トーゴヴニク 「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」 NYのApertureとの共同出版

黎明期のドラァグ・クイーンたちを撮影した畑さんの写真集は、いよいよ制作が佳境に。日本語版と英語版では表紙のデザインも異なっていて、それはこの写真集に何を見ているかという重点の違いであると思う。デザインはずべて町口景。 この写真集は実際に形になるまでに時間がたっぷりあったので、構成を間隔をおいて見直すことができ、それもよかった。近日、ふたつの表紙を並べてお見せしながら、「夜はまだ早い」という内なる叫びのようなものに触れてみたい。

そして今日、ジョナサンの写真集のサンプルが届いた。これは本当に美しい本だ。企画・翻訳をしてくれた竹内万里子さん、日本語版デザインの町口景、そして口幅ったい言い方ながら私の、なにか希望のようなものにつながる本だ。 坂本龍一さんの帯の言葉を、今日は引用してみたい。

「こんなヘビーな本なのに、不思議に心がゆったりした。

きっと子供たちの目が、めちゃくちゃ美しくて、それに救われたんだと思う」 坂本龍一

 

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