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今日は製本の方を交えた打合せ。写真、言葉、さまざまなモノたち、という要素を考えると、素直なつくりなのだが、一方で製本面では難しさもある。布貼りの表紙にしたい。しかも、誰もが思わず夢中で選びたくなるような布貼り。 デザイナー、寄藤さんのところでの打合せは、毎回おもしろい。目がひゅっと新しくなる。
長島さんはプリントを追加して焼いてくれた。それらの写真は相当、大きなことのはずだ。本をつくる過程で、そうした動きが自然と萌してくれたことをうれしいとも有りがたいとも思う。大切にしたい。
家を引越ししようとしていて、自分のものが少ないなぁと思う。あふれるほど埋もれてみたい気もするのに、そうした居心地のよさをまだ味わったことがない。
ソウルでみんなと拾った大きなぬいぐるみの方が、私より部屋に馴染んでいる気さえする。
一年(ひととせ)を眺め尽くせる朝戸出に 薄雪こほる寂しさの果て 藤原定家
小社から写真集「MAGMA」を刊行している花代が、金曜日から個展を開きます。
それに先立って、明日の夜、トークショーとムーヴィー上映を行いますので、ぜひお出かけください。
花代いわく「実験作品」。私も明日初めて見て、久しぶりに花代と話すという運びです。
花代・写真展「物理的心霊現象のメカニズム」
The mechanism of physical spiritual phenomena
opening party
11th feb thursday 7pm-
会期:2010年2月11日[木・祝]〜3月8日[月]
■月〜金/13:00〜20:00土日祝/12:00〜19:00■水曜休館
■展覧会 会場:parabolica bis[パラボリカ・ビス]
■東京都台東区柳橋2・18・11■TEL: 03-5835-1180
PRE EVENT▶2010年2月10日[水]Hanayo Talk Show with Kimi Himeno
★トークショー&「wooden veil」
ゲスト■姫野希美(赤々舎・代表)
トークショー+ムーヴィー「wooden veil」上映
▶open/19:00 start/19:30
▶2010年2月12日[金]Hanayo Talk Show with Masaya Nakahara
★トークショー&「wooden veil」
ゲスト■中原昌也
トークショー+ムーヴィー「wooden veil」上映
▶open/19:00 start/19:30
拝啓 少しずつ春の気配の感じられるこの頃、いかがお過ごしでしょうか。
さてこの度、スペースAKAAKAにて標記の写真展を開催致します。
東京都台東区、かつて「山谷」と呼ばれ日雇い労働者の町として知られていたこのエリアにある外国人旅行者専用の簡易宿。鷲尾和彦は、この一軒の宿へやって来るバックパッカーたちのポートレートを5年間にわたり撮影しました。のべ数百人の旅行者との出会い。
彼らの言葉に耳を傾け、互いの言葉の向こうに残されていった記憶。
「そして、その『響き』が僕を強く共振させる時、僕たちはともにこの世界を漂い続ける小さな欠片であり、異なる場所でそれぞれの生を生きてきた者同士なのだという愛しさが込み上げて来た。」(あとがきより)
彼らひとりひとりのポートレートに刻まれる不思議な静謐と体温、そして切迫感は、未来への希望と不安が入り交じりながら漂う私たち自身の肖像でもあり、従来のドキュメント写真を超えた普遍性を獲得しています。遠くへ何かを探しに行くことだけが「旅」なのではなく、訪れては去る彼らの姿を見つめる中にこそ、宙吊りの今を生きる、新しい「旅」の写真の可能性があることを、「極東ホテル」は静かに指し示しています。
写真集『極東ホテル』の刊行と合わせて催される本展では全27点のプリントを展示致します。
ご来場を心よりお待ち申し上げております。
敬具
2009年2月吉日
AKAAKA
今夜は雪になりそう。雪が降る日はほんとうはあたたかい、というような短歌があって、ふらっと思い出す。
これは、HPがリニューアルしてから私が書く初めてのブログです。
リニューアルに当たって大きな力を貸してくださった萩原綾子さんと中島雄太さんに心からの感謝を伝えたいです。私自身がうといというのが非常によくないことですが、お二人と話していると、少しずつこの画面に近づいていけそうで嬉しい瞬間があります。
ここ4週間ほど、朝日新聞の「仕事力」という連載に、談を書いてもらっていた。およそ私が出るにはふさわしくないコーナーで固辞したものの、時には変り種もということだったと思う。
それに載せてもらって良かったと思える出来事があった。 新聞を見たという女性から、亡くなった父親が遺した写真を見てほしいという電話があって、先週その方たちがいらしたのだ。その方建ち、、、75歳と73歳の姉妹で静岡からだったから驚いた。お二人が引っ張ってこられたカートには、何冊ものアルバムと大判のプリントが入っていた。すべて30半ばにも届かない若さで亡くなった、彼女たちの父親が撮ったもの。いま目の前で微笑んでおられるご婦人が、産湯をつかっていたり、おかっぱで母親と手をつないでいたりする。あまりに若く亡くなられたので、彼女たちに父親の記憶は薄い。ただ、文章と写真に意欲をもって働いておられたこと、これを撮ったのは日本に最初にきたライカ3台のうちの1台らしいこと、、、などを断片的に話してくださった。
こんなものをお見せしてねぇ、、としきりにお二人は恐縮された。ただ自分たちが死んだらそのまま捨てられてしまうものだし、先日の新聞を見て、なぜかすぐ電話してしまったんですよ。自分でもびっくりしました、と。お電話されたのはお姉さんの方だった。 「消極的な人生の中で、唯一の積極だったかもしれません」 と柔らかく笑ってらした。
だから私も思い切って言えたのだと思う。「もし、この先、散り散りになりそうなときがきたら、私に預けてもらえませんか」 それはいま思い返しても途方も無い申し出で身が縮む気がするけれども、その家族写真の、目が濯がれるような光が、思わずそう口走らせたのだと思う。
いま置いていく、というお二人を押しとどめて、また遥々帰っていただいた。お土産の安倍川もちとわさび漬けが残された。 自分に何ができるのだろう。ただもう少しだけでも、そのお父さんの話を聞きたくて、アルバムの写真の時間を見ていたかった。春になったら、今度は私が訪ねたいと電話した。