Blog

『津波、写真、それから--LOST&FOUND PROJECT』を読んでくださった読者の方が、ご自身のブログに記事をたいへんご丁寧に書いてくださいました。

山元町のプロジェクト「思い出サルベージ」のことにはじまり、「LOST&FOUND PROJECT」までの流れを、ご自身の体験も通して、丁寧に追ってくださっています。

このたびご本人に掲載許可を頂き(誠に感謝致します)、下記に転載をさせて頂きます。ぜひ皆様もご一読ください。


===========================================================================================

2014年03月02日

津波、写真、それから --LOST & FOUND PROJECT



実は刷りだしを見ていたんだけど、本物を手にするとまた格別の感慨が。

万人が読むべき本と確信してお勧めしたい。


IMAG0512


もう三年近く前になるけど、縁あって宮城県山元町の写真修復ボランティア『思い出サルベージ』にちょっとだけ参加し、ちょっとだけお手伝いをさせていただいた。














津波に巻き込まれた写真を洗浄していると、時々こんな悲惨に遭遇した。


被災した写真

被災した写真 posted by (C)[4k]shike





-------------------------------------------------------------------------------------------


写真の表面まで海水が浸入したせいで写真の表面が溶けて、判別できなくなってしまった写真も多い。溶け出した乳剤が、まるで被災者がその感情を表現したアクションペインティングのようにも見えてしまう。


もちろんそんなことはない、ただ激しい波の中で、思い出が失われてしまっただけなのだ。

宮城県・山元町で写真修復ボランティア(3)作業開始:裏[4k](ura_shike)

--------------------------------------------------------------------------------------------



こういった写真がどうなるのか、ずっと気になっていた。

丁寧に洗浄されて保管されているのちは知っていたが。


それが、2年前、このような展示イベントに繋がった。この本の著者である高橋宗正さんと、多くの支援者の手によって。

[イベント]LOST&FOUND PROJECT(宮城県・山元町 写真修復ボランティア「思い出サルベージ・オンライン」で救えなかった写真たち:裏[4k](ura_shike)









IMAG0511
IMAG0512
IMAG0517



この「傷ついた写真の展示」は世界を回り、多くの人に生きることの意味・その中で写真が持つ意味を問いかけた。多くの人々の魂が揺さぶられた。


本書はこのプロジェクトの記録である。

と同時に、高橋宗正という一人の写真家が、多くの仲間を巻き込みながらこのプロジェクトを推進していくなかで、大震災を前にして見失ってしまった「写真の持つ意味」を通じて改めて発見するに至る「魂の記録」でもある。



--------------------------------------------------------------------------------------------

現在、写真というものは常にぼくらの身近にあって、好きな時にいくらでも撮ることができます。

あまりに膨大にありすぎるために、普段その価値をちゃんと考えることはあまりありません。

ぼくは震災以降、津波に流された写真と関わることで、写真の持っている役割を改めて知りました。

いつでも複製可能であるはずの写真が世界にその一枚しかなくなった時、写真が本来持っている価値が見えてきました。

そして世界中の人と展示を通じて交流してきた中で、ぼくらの経験を形にして共有していくことには意味があると確信しました。

本の印税は全て山元町への寄付金になります。

ぜひこの本を手に取って下さい。


LOST&FOUND PROJECT実行委員長 高橋宗正 --著者による紹介文

--------------------------------------------------------------------------------------------



image
image

その理由をうまく説明する言葉が上手く見つからないのだけど、この大きな判型から伝わってくる静かな衝撃が、今を生きるありとあらゆる人たちにとって、とてつもなく大きな意味を持つことだけは、僕にはわかる。



是非、手にしてみていただきたいと、心からお勧め申し上げます。







池袋の東京芸術劇場でイベントが開催されています。今週土曜日3/8には高橋さんも登場します。こちらも是非。

<写真の「現在」>   東京芸術劇場

「Moving Distance:2579枚の写真と11通の手紙 」   東京芸術劇場

===============================================================================

四家正紀(しけ まさのり)さんブログ 裏[4k](ura_shike) より転載させて頂きました。


ご好評をいただいております大橋仁写真集『そこにすわろうとおもう』につきまして、
本年2月27日以降、ご注文が大変込み合った状態になっております。

本書は出荷に際して手作業による繊細な包装を要しますので、
通常でも1週間程度のお時間をいただく場合がある旨ご了承いただいておりますが、
現在の状況ですとそれ以上のお時間をいただいてしまう可能性がございます。

大変申し訳ございませんが、順次出荷してまいりますので
何卒ご了承いただけますようお願いいたします。


(担当:柏崎)
現在発売中の日本カメラ3月号、今月のPHOTO&PEOPLEのコーナーで、2ページにわたり『やっぱ月帰るわ、私。』インベカヲリ★さんの記事を掲載して頂いております。

ぜひお手にとりご一読頂ければとおもいます。


DSC_0746.jpg

(左上の写真は「この人間どもが! 2009年」といって、タイトルも存在感が凄いです)



ぜひ日本カメラさんの記事をご覧になって、こちらの展示にもお越し頂ければ幸いです。


現在発売中のアサヒカメラ3月号<2014年2月20日>の表紙と、中程のグラビア6ページにわたって、浅田政志さんの『卒業写真の宿題』が掲載されております。

現役の高校生へ「卒業アルバムに載らない写真を一緒に作りませんか?」と呼びかけ、洋服を作るデザイナーの神田恵介さんと作り上げた共同作品です。(このシリーズは、2014/2/22~5/18 水戸芸術館「拡張するファッション」展にも出展されています。)
ぜひお手にとりご一読くださいませ。


asahi01.jpgのサムネール画像


DSC_0742.jpg



写真展「one」が開催中だった小林透さんと、小社代表 姫野希美のトークイベントが、先月2月1日(土)に水戸のキワマリ荘にて催されました。
(不定期シリーズ「よんでみる」その6 /モデレーター・本展企画 松本美枝子さん(写真家))


家族であり、小さい頃からかわいく一緒にいた弟と、ある日帰宅すると躁状態にあり、裸でぴょんぴょん跳びはねながらそれまでに見たことのない様相を見せていた弟。   

目の前のことからズレるという力にはじまる小林透さんの写真とお話は、それが社会に差し出されたときに、「同意のとれていない自閉症の被写体」という線引きを受けること、また弱者という形になぞられ、写真倫理を問われることなどに繰り返し行き当ってきたことを今一度たどりながら、しかし人々があらたに息をするキワマリ荘の会場へと展開していきました。



弟は家族といるよりも施設で暮らして社会に受け入れられていく方が幸せー

施設の方からそうはっきり言われたとも語る一方で、
小林透さん自身にはこれまでの撮影行為や関係性の積み重ねで得てきた「撮ることでは、弟は僕から離れていかない」という確信があるなど、その写真とお話は、弟という存在の圧倒的な立ち上がりをともないながら、いくつものズレの間を繰り返し往復し、論破ではなく、可能性を駆け巡る運動体のように、会場に大きな問いの器を拡げました。 



トーク後の質疑応答では  「否定的で悲しい気持ちになった。でも信頼関係があるのもわかった。なぜ最初に撮ったのですか」という最初のズレに立ち返ろうとする投げかけをくださる方や、 弟さんのわからない思いを推測しながら音声意志伝達装置(トーキングエイド)でご質問ご感想をくださった方もいらっしゃいました。


いつまで撮り続けるんですかと聞いたとき「死ぬまで撮り続ける」と作家が言った、その一冊目を作るための、問いや矛盾や覚悟。赤々舎にとってもそれらを往復する最初の場になったようにおもいます。



写真を撮ること自体が搾取でもあるなら、それを負って何を渡すのか。


写真の問いにひっぱられ、作家だけではなく、いらしてくださったお客さんまでも、わからなさに突き進んで身をもって考えた2時間であり、そうした痕跡に対する問いや、往復に、私達の場所がそのままあるなら、本が開かれる場所とはそういうところでもあるのかもしれません。


「そうじゃない」ということを見せながら、向ってくる人がいるというのを拡がりの可能性として、小林徹さんの写真がまた次に差し出される場所を、息をのんで(ーそして息をはく、その間の往復のひとつの続きに)どうぞお待ちください。

DSC_1347s.jpg

(椿)
<< Previouse 6566676869707172737475