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写真集『sight』の朝海陽子さんが、東京都写真美術館等で開催中の
第六回恵比寿映像祭「True Colors」にて新作「wayfinding」を展示しています。

恵比寿映像祭は入場無料です。
皆さまぜひ足をお運びください。

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©Yoko Asakai

wayfinding」とは、広大な海域に点在する島々で生活をするポリネシア、ミクロネシアの先住民達が航海の際、陸地が一切見えなくなることが多いため、天体や風向の観測から自らの現在位置と方向を推測するスターナビゲーションと呼ばれる伝統航海術で空間内を移動するための「案内標識」という意味も持ちます。
今までは自宅で映画を観ている人を撮影した「sight」や潮の干満の記録「Pace」など、「ある特定の場所で起きる現象」を定点観測的に撮影するシリーズが多かったのに対し、今回の新作では「移動する視点」をテーマに「時計」の時間とは異なる周期で移り変わってゆく風や天気、またそうした自然の気配を読み取りながら移動する渡り鳥などの対象を道標とし、実際に北と南へ移動しながら撮影したシリーズです。



会期


2014年2月7日(金)〜23日(日)
10:00 ~ 20:00
※ただし最終日2月23日(日)のみ18:00まで。
※月曜休館(2月10日・17日)

イベント


朝海陽子ラウンジトーク
2014年2月21日(金) 13:00〜
参加無料

会場


東京都写真美術館全フロア及び恵比寿ガーデンプレイス センター広場、
ザ・ガーデンルーム、恵比寿周辺文化施設及びギャラリーほか

朝海陽子写真展示:東京都写真美術館 3F 展示室
朝海陽子ラウンジトーク:東京都写真美術館 2F ラウンジ

第六回恵比寿映像祭「True Colors」の詳細は下記をご覧ください。
http://www.yebizo.com/



写真集『sight』はこちらからお買い求めいただけます。
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来週から写真集『私は眠らない』の藤岡亜弥さんが銀座ニコンサロンにて
写真展「Life Studies」を開催いたします。

皆さまぜひ足をお運びください。



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©Aya Fujioka


作者は文化庁海外派遣留学生として2008年から1年間ニューヨークを拠点に創作活動を始めた。その後さらに3年間ニューヨークに滞在し写真制作に励んだ。その4年間の成果が本展である。
作者のニューヨークでの表現活動は、必ずしもスムーズにスタートしたわけではなかった。経済的不安定や人間関係のストレス、もつれる愛など、生活のペースを獲得することすら困難な状況に陥ることもあった。
文 化庁派遣留学生としての1年は、ニューヨークに順応する為の時間に費やすことになったと振りかえる。そしてようやくカメラを手にした。対象は虚言癖のある ボーイフレンド、マリファナ中毒の隣人、ルーズでナルシストなルームメイトなど。そして街頭の人々のスナップショットに集中してゆく。
しかし作者は、表現の対象は写している他者でなく自分自身であることに気づく。
被写体としてよく現れるのは、悲劇的にも見える子供たち、対照的に戯れる恋人たち、それらが交互に縄を編むように現れてくる構造は、悲嘆と願望との落差で翻弄された作者のニューヨークで体験した「Life Studies」である。
ニューヨークという大都市に渦巻く巨大なエネルギーの混沌。弱者と強者、軽さと重さ、その両極の間にのみ込まれ、膨張と収縮をくりかえしながら、写真を撮ることでようやく立ち上がってゆく作家の姿をここに見ることができる。カラー42点。 



藤岡亜弥写真展
Life Studies


日時

2014年2月12日(水)〜2月25日(火) 
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

場所

銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7丁目10−1

写真集『SMOKE LINE』『近づく』などの津田直さんが写真展「SAMELAND」を開催いたします。

皆さまぜひ足をお運びください。



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©Nao Tsuda


津田直写真展
SAMELAND

(POST HPより) 
この度、POST では、津田 直の写真展[SAMELAND] を開催します。
写真家、津田直は極北の先住民であるサーメ人たちに出会うため
2012 年の初夏に、フィンランドとノルウェーを訪ねました.

サーメ人たちは、1 万年前に鹿の群れを追って現在の土地にたどり着いたと言われています。人々の暮らす土地は、北緯66 度33 分以北の北極圏に位置し、その土地には彼らの祖先たちがその場所に辿り着いた時と変わらぬ風景がそのまま残され、人々は現代社会に順応しながらも、以前と変わらぬ文化を大切に引き継ぎ、今もサーメの伝統や精神を継承しつづけています.

サーメランドを訪ねた津田は、
その土地で内陸部と海岸部を季節に応じて移動しながらトナカイ放牧を生活の糧として暮らすサーメ人が、
夜を徹して行うポロ・メルキトスというトナカイの親子を照合する行事に立ち会います。
また出会った男達に連れられ、かつての聖地に立ち自然信仰に触れ、サーメの生き方に近づいてゆきます。
日本から遥か遠くに離れていると感じる極北の地ですが、どこか日本のアイヌとも類似点があり、親しみを感じさせてくれるサーメ人。

本展は、津田がその「サーメランド」で撮影したランドスケープとポートレートの写真で構成される展覧会です。


展覧会

会期: 2014年2月14 日(金)〜2014年3月6日(木) 12:00〜20:00
会場: POST 場所 POST 150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3 tel: 03-3713-8670
協力: JAL グループ機内誌『skyward』、TCK、TRANSIT (euphoria FACTORY)

作家在廊日: 2月14日(金)

レセプション

日時: 2014年2月14日(金) 18:00〜20:00
会場: POST

スライドショー&トークイベント

「ミッドナイトサンの下で」
日時: 2014年2月15日(土) 18:00~19:30 開場 17:30 /スタート 18:00
会場: POST
参加費: 1,000 円(当日、会場にて現金のみ承ります)※要予約
出演者: 津田直
申込方法:  お電話(03-3713-8670)、またはemail(post@post-books.jp)にて承ります。 以下の項目とともに、ご参加の旨をお伝えください。
・お名前
・ご連絡のつくお電話番号
・メールアドレス
・ご参加希望人数

 また本展に合わせ、写真集[SAMELAND] を発行します。
[SAMELAND]
写真:津田 直
テキスト:管 啓次郎
アートディレクション/デザイン:田中 義久
発行:limArt
初版1000部
ISBN:978-4-9907173-3-9
価格:2800円(会期中)、3000円(会期終了後)

略歴

津田 直
1976 年神戸生まれ。ファインダーを通して古代より綿々と続く、人と自然との関わりを翻訳し続けている写真家。2001 年より国内外で多数の展覧会を中心に活動。 主なシリーズに、『近づく』(2001-2004)、『漕』(2005-2009)、『SMOKE LINE』(2008)、『果てのレラ』(2009)、『Storm Last Night』(2010)、『REBORN』(2010-)、『Earth Rain House』(2012)がある。 また最近では、現代美術のフィールドを越えて他分野との共同制作や雑誌連載、講演会、特別授業を行うなど活動は多岐にわたる。 2010 年、芸術選奨新人賞(美術部門)受賞。主な作品集に『漕』(主水書房)、『SMOKE LINE』(赤々舎)、『Storm Last Night』(赤々舎)がある。現在、近江学研究所客員研究員、大阪芸術大学客員准教授、大阪経済大学客員教授。 http://www.tsudanao.com

管 啓次郎
詩人、比較文学者。 主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)、『斜線の旅』(インスクリプト、読売文学賞)、『本は読めないものだから心配するな』『ストレンジオグラフィ』(いずれも左右社)などがある。サン=テグジュペリ『星の王子さま』の画期的新訳も話題を呼んだ(角川文庫)。 2010年から発表してきた16行詩のシリーズ「Agend'Ars」は13年の『時制論』(左右社)によって4部作が完結。すでにアメリカ、スロヴェニア、セルビアで招待朗読を行なっている。東日本大震災後、小説家の古川日出男らと朗読劇『銀河鉄道の夜』を各地で上演してきた。 2013年には十和田奥入瀬芸術祭参加作品として物語集『十和田、奥入瀬 水と土地をめぐる旅』(青幻社)を制作。さらに高山明(Port B)構成・演出の観客参加型演劇「東京ヘテロトピア」でテクスト監修を務めた。 ASLE-Japan 文学・環境学会代表。

田中 義久
1980 年静岡県浜松市生まれ。グラフィックデザイナーとして、主に美術館やギャラリー等のVI、アーティストの作品集や共同制作に携わる。受賞歴に、BACON PRIZE、JAGDA 賞、JAGDA 新人賞、PromaxBDA DESIGN GLOBAL EXCELLENCE AWARDS 銀賞、red dot award などがある。 また飯田竜太(彫刻家)とのアーティストユニット「Nerhol」としても活動中。 www.nerhol.com
小社代表の姫野が小野啓写真集『NEW TEXT』作って届けるためのプロジェクトを振り返ったエッセイを、
図書館にまつわるさまざまなトピックを扱っている雑誌「みんなの図書館」に寄稿いたしました。

下記に全文を掲載いたしますので、ぜひご一読ください。


「みんなの図書館」は全国の主要図書館で読むことができます。
詳しくはこちらをご覧ください:図書館問題研究会 雑誌 みんなの図書館


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クリックすると大きな画像で表示されます。

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写真集『NEW TEXT』を全国の図書館へ
姫野希美
(赤々舎代表取締役、ディレクター)


●10年をかけて撮影した500名余の高校生
 小野啓が撮る高校生のポートレートは、朝井リョウさんの小説『桐島、部活やめるってよ』『少女は卒業しない』の表紙になっているといえば、思い起こされる方もいらっしゃるだろう。小野啓は、実は自身のライフワークとして、ここ10年間ほど高校生のポートレートだけを撮りつづけてきたのだった。北海道から沖縄まで全国各地の500名余りの高校生を写してきたが、何より印象深いのは、小野がモデルとして高校生を選ぶのではなく、モデルの呼びかけに応じてくれた高校生を全員、彼らが生活している土地に赴いて撮影してきたことだろう。
 写真を撮る行為は、「被写体」の語が示すように、撮られる側を受け身の立場に置きがちだが、小野の高校生との向き合い方は、むしろ撮る側が受け身なのだった。始めた当初は「(モデルになってくれる)ひとりひとりが遠かった」と彼は述懐する。高校生が行きそうな服屋やスペースにモデル募集のチラシを置いてもらい、雑誌の後ろの方のページに小さな告知を載せてもらった。連絡してきてくれる高校生は稀で、ただ待つことしかできなかった。やがてインターネットの普及につれて、ホームページを見た高校生からのメールでの応募が主になった。なぜ写真を撮られたいのかーー願望や不安、切実さや揺れがメールの言葉に滲み、時にすべては伏せられていた。
 小野はその高校生の顔を知らないまま、新幹線や高速バスで彼らが居る土地に出かけた。「君が身近に感じる場所はどこ?」という小野の問いかけによって、高校の教室、通学路、駅、コンビニの前、海辺、暗い踊り場、自室などさまざまな空間で撮影が行われた。笑顔はなくポーズもなく、カメラを見つめる彼らの姿とその背景に、私たちは何を見るのだろうか。


●手探りのクラウドファンディング
 小野啓が持ち込みでこのシリーズを見せてくれたとき、高校生という年代がもたらす青春性やナイーブさ以上に、ひとりひとりの存在感とそこに宿る重心に打たれた。まだ何者でもない彼らは"高校生"と呼ばれながら、個の存在としてこちらを見返し、私たちを映し出しているようにも思えた。最初に撮った一枚は、ルーズソックスの女子。最後の一枚は、夕陽が射し込む駐輪場の眼鏡の男子。その間に流れた10年は、彼らが生きている場所を変えただろうか。
 ボリュームが必要だった。500名以上の、しかも複数ある写真をフィルムから見直し、323名のポートレートを時系列で並べることにした。写真集としては大部のものになるが、しかし価格を抑えたかった。もしも高校時代の自分がこの写真集を見たら何を感じただろうーーその想像は恐ろしくもあるが、できれば高校生にも手に取ってもらいたいと強く思った。
 必要なコストとイメージする定価。その矛盾のなかで辿り着いたのが、"小野啓写真集『NEW TEXT』作って届けるためのプロジェクト"だった。このプロジェクトへの参加費は制作費の一部となり、定価を抑えることにつながる。同時に、ひと口(5000円)ご参加いただくと、小社は完成した写真集を一冊お手元に届けるとともに、もう一冊をご希望の図書館や高校に寄贈するというものだ。クラウドファンディングという言葉も知らないような手探りの状態だったが、ともかく500口を目指してスタートした。"作って届ける"とはそのまま出版社の役割ではあっても、それを十全に果たすことは常に難しい。私たちが特に新しい可能性を思ったのは、寄贈先を参加者に考えてもらうことだった。書店でもWEBでもなく、自分たちのコントロールが及ばない場所、人が本と出会うはずの場所がそこにあるのではないだろうか。プロジェクトをスタートするに当たって、私はこんな呼びかけを書いた。
 「本は、書店に並んでいても倉庫に積まれていても、それだけでは『本』ではないです。人の手がそれを取り、眼と写真が向き合ってはじめて『写真集』は生まれます。 あらためてその生々しく困難なことに、小野啓と挑戦したいと思いました。 表紙の擦り切れた『NEW TEXT』が図書館の棚にあり、常に未知の読者を待つことを願っています。
『NEW TEXT』があなたからあなたの家族へ伝わり、時代と普遍が手渡されることを願っています。 どうぞ参加してください。」


●約200館の図書館へ
 プロジェクトは、およそ1年をかけて達成された。小野啓の奮闘はもとより、参加してくださったひとりひとりの方々、呼びかけるための場を与えてくださった方々......たくさんの力を授けていただいた。そして、私たちをとても勇気づけたのは、寄贈先のご指定に添えられていた言葉だった。母校へ、図書館へ、『NEW TEXT』と名付けられた写真集は、想像もできないような旅を始めようとしている。
 たくさんの図書館が挙げられていた。昔、父親と暮らした思い出の町の図書館へ贈りたいという方。旅先の東北の町で立ち寄った図書館、木陰が美しかったあの場所に贈りたいという方。離島の図書館へーー高校に入るために島を離れる子どもたちへ見せてあげたいという方。こんな声もある。
「私は終の住処予定地の図書館に寄贈しようと考え中です。寄贈という形で未来の高校生に紹介したいと思いました。知り合いの高校生にはさりげなく教えて図書館に誘導しようと思います。大人は勝手に手に取ればいいのです。なんかそんなポートレート群なんです。」
 寄贈先をお任せくださる方の分は全国の図書館にお送りする予定なので、合わせて約200館にこの写真集をお届けすることができそうだ。とても少ない数ではあるけれども、この200冊がさざ波となり、どこかの遠い岸に届くこともあるかもしれない。
 『NEW TEXT』の表紙は、モデルとなってくれた高校生やそのクラスメートによる、無数の「NEW TEXT」という文字の寄せ書きだ。ノートや黒板や路上に書いたその文字を、みなが携帯電話のカメラで撮って小野に送ってくれたという。丹念に敷きつめられた彼らの文字の表紙、そこに浮かび上がってくる、未だ書かれざるテキスト、「NEW TEXT」をひとりでも多くの方に見ていただきたいと願う。

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初出:「みんなの図書館」2014年2月号(図書館問題研究会機関誌)




小野啓写真集『NEW TEXT』はこちらからお買い求めいただけます。
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2月2日(日)の読売新聞朝刊の読書欄にて、小野啓写真集『NEW TEXT』をご紹介いただきました。
ぜひご一読ください。


記事のなかで言及されている「クラウドファンディング」については、
プロジェクトのブログは現在も更新中です!



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小野啓写真集『NEW TEXT』はこちらからお買い求めいただけます。
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