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写真集『浅田家』『NEW LIFE』の浅田政志さんが来る8月17日トークイベントに出演されます。
このトークイベントは、森美術館で現在開催中の「LOVE展」にあわせての開催になります。
対談相手はかねてより親交のある著述家・編集者の畑中章宏さんです。
家族と写真を中心に話を展開される予定です。 とても興味深い内容になるかと思います。
ぜひお誘い合わせのうえ、足をお運びください。


浅田政志×畑中章宏 トークショー

【日時】2013年8月17日(土)14:00-15:00(予定) 
【会場】TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(六本木ヒルズゲートタワー1F) 

出演:浅田政志、畑中章宏(著述家・編集者) 

お問い合わせ:TSUTAYA TOKYO ROPPONGI TEL 03-5775-1515

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弊社では下記の期間、夏期休業とさせて頂きますので、ご案内申し上げます。
休業期間中は何かとご迷惑をお掛けすることと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

【夏期休業期間】  2013年8月14日(水) ~ 8月18日(日)

※8月19日(月)から平常どおり営業いたします。
この夏から秋にかけて静岡市美術館で美術家・今村源の展覧会「わた死としてのキノコ」が静岡市美術館で開催されます。
小社はこの展覧会のカタログを制作しております。(会場風景を収めるため、刊行は9月上旬)
会期中、多数イベントも開催されます。ぜひお誘い合わせの上、足をお運びください。


わた死としてのキノコ 今村源

会期

8月6日(火)~10月27日(日)


会場

静岡市美術館

OPEN: 10:00~19:00 (展示室入場は閉館30分前まで)
CLOSE: 月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)


今村は、針金や樹脂などおよそ彫刻らしからぬ素材で、浮遊感溢れる「彫刻」を作って来ました。それどころか、椅子や机、バケツや冷蔵庫など身近な日用品も、一見ささやかに、しかし驚くほど精緻に手を加えられ、魔法をかけられて作品世界に登場します。
今村はまた、森の地下に菌糸を張り巡らし、ときおり地上に姿を顕す「キノコ」の世界に、深い関心を寄せてきました。私たちには見えない世界で、しかし確実に世界と共生し、世界を支えている「キノコ」。そんな「キノコ」の姿に、今村の思索は、私(個)を超えて連綿と続く生命の営みにまで広がります。
キノコ、わたし、そして魔法をかけられ「伸びやかな物質の夢」にみちた日用品たちが、天井高6mのエントランスホールに浮遊し、共生する世界をお楽しみください。


<公式カタログ>
今村源作品集  9月上旬 赤々舎より刊行予定
※詳細は後日発表

<関連イベント>
8月7日(水) 今村源 アーティストトーク

9月1日(日) 記念対談&ライブ

9月21日 (土) 作品集刊行記念対談/静岡・音楽館×科学館×美術館 共同事業
ミュージアム・カフェ・トーク 「キノコの教え」


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8月10日〜12日に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット84で、
小野啓が 11日(日)の西あ-06a「tsaka.jp」 のブースに出展いたします。
このブースは坂口トモユキさん主催の写真サークルで、
坂口トモユキ、小野啓、宮崎いず美(敬称略)の3人での参加となります。

また、翌週の18日(日)には同じく東京ビッグサイトで開催されるコミティア105でも、
同じく坂口さんのブース す01a「tsaka.jp」 に出展いたします。

小野さんは両イベントで限定冊子 「NEW TEXT - Shopping Mall」 を販売する予定です。
この冊子は小野啓写真集『NEW TEXT』作って届けるためのプロジェクトでご予約いただいた方に
差し上げる特別冊子ではなく、プロジェクトとは別に小野さんが独自に企画し、自費制作したものです。

皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひ足をお運びください。



コミックマーケット84

日時

8月11日(日) 10:00~16:00

ブース

西あ-06a「tsaka.jp」

入場料

無料


コミティア105

日時

8月18日(日) 11:00~16:00

ブース

す01a「tsaka.jp」

入場料

入場前にコミティアオフィシャルガイド『ティアズマガジン105』をご購入ください。
ご購入についてはこちらのページをご参照ください。

なお、小学生以下の方は入場無料です。



場所

東京ビッグサイト(コミックマーケット84・コミティア105共通)

〒135-0063  東京都江東区有明3-11-1

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『NY 1980』を出されている大竹昭子さんが、百々新 写真集『対岸』の書評を
紀伊國屋書店のwebの書評空間でお書きになりました。こちらでも掲載いたします。
ぜひお目をお通しください。

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「カスピ海を巡る5つの国の旅」

カスピ海が世界でいちばん大きな湖なのは知っていても、そこにいくつの国が面していて、それがどこの国なのかを言い当てられる人は少ないのではないか。

解答と言うと、東から時計回りに、トルクメニスタン、イラン、アゼルバイジャン、ロシア、カザフスタンの5国である。そうか、と思うものの、無惨なほどそれ以上の感慨が浮かんでこない。多少の知識があるのはロシアとイランで、ほかの3国についてはどんな場所なのかイメージできない。

『対岸』はカスピ海に面したこの5国の沿岸で撮影されたもので、今年度の木村伊兵衛賞を受賞した。見たこともないような奇妙な様式のビル、派手できらびやかだが、どこと特定しづらい装飾的な室内インテリア、岩山に建つ古いアパートから突きでた無数のパラボナ・アンテナ、湖に携帯電話をむけて撮影している黒装束の女性たち、天然ガスの採掘場なのか岩のあいだの夜空を昼間のように明るく照らすライト群......。

過去にこのエリアがこのように撮影されてきたことはあるだろうか。海外には、カスピ海に生きる人々の暮らしや産業を追ったコーヒーテーブルブック的な写真集があるかもしれない。だがこれはカスピ海を撮った写真集ではない。写真家の関心は水域ではなく、そこに面した国々にある。

「対岸」というタイトルにもそれは現れている。「沿岸」ではなく「対岸」。湖の周りをめぐるのではなく、反対側に視線を投げかけるという意図が感じられる。西の黒海も複数の国に囲まれているが、あちらはボスポラス海峡のところが開いている。だがカスピ海は流出する川のない完全に閉じた円の空間なのだ。

トルクメニスタンの対岸にはアゼルバイシャが、カザフスタンの対岸はイランが、ロシアの対岸にはトルクメニスタンとカザフスタンがある。東と西、北と南が、この巨大な空隙を挟んで出会っているような不思議さを感じずにいられない。現代では対岸に行くことはなく、おそらく両岸を結ぶ空の便すらも少ないと思うが、かつては水運によって頻繁に行き来がされていただろう。

さて、ここから本題の写真に入りたいのだが、すでに書いたように私はそれぞれの国の文化についても、現在の国境線が引かれた事情についても知識を持っていない。知識がないということは、写っているものの意味を読み込めないということ、表面的にしか見られないということだ。ということをまず告白しておくとして、単純に写真のおもしろさに惹かれてページを捲っていった。知らない土地に降り立ち、街を歩く。手がかりのないまま、幼い子供と同じように目をキョロキョロさせながら歩く。将来ともその地に行くことはないと思うから、これが最初で最後のような気持ちで一点一点に見入る。

国別にレイアウトされているので、どの写真がどこで撮られたかは一目瞭然である。だが写真を見ているときの私は、国ごとの差異を見いだそうとする意志と、差異がないことに肩入れしようとする意志とに引き裂かれている。そのどちらの気持ちにも嘘はない。

差異を見いだすのは知的な視線である。よく目をこらせば写真によっては、文字、人の顔、国家元首の肖像写真、宗教建築など、国を特定できる手がかりが見つかる。それを探しだして理解を深めようとする。

もう一方の視線は、それとはまったく逆で、どの国のあまり差がないなあ思いつつ見ている。こちらのほうが現在の自分に正直だろう。たとえばパリのエッフェル塔のようなよく知られたシンボリックなものがない。人種的な差もわからず、文化的な記号が見いだしにくい。その代りに共通して浮かび上がってくるのは、街路が雑然としていること、建築様式が独特なこと、経済的に豊かそうには見えないこと(道路がガタガタで、ゴミが散乱している)、土地も肥沃そうではないこと(岩山や荒れ地が多い)......。

多少なりとも情感が感じられるのはロシアの章で、文化の厚みのようなものが伝わってくるが、ほかの4国はノイズが多く、文化的な記号が錯綜していて、それが少しもほどけないことに圧倒される。自分のまったく知らない場所が、彼らにはとても親しい場所であるということに驚き打たれることは東京を歩いていてもあるが、それが想像を超えるレベルにあり、圧倒的な「他者」との遭遇にめまいを覚える。

カスピ海と日本列島はほぼ面積が同じで、水域と陸地を逆転させると、閉じている島国=日本と、閉じている水域=カスピ海はポジネガの関係になる。それに気がついたとき、このプロジェクトの根っこにぶち当たったような気がした。もし「対岸」をキーワードに沿岸の5国を撮影したこれが世界初の試みだとしたら、日本の写真家だから発想できたということがあるかもしれない。世界最大の湖を挟んで5つの国がむきあっているという事実には、島国にいる私たちの想像をかき立ててやまない何かある。ツボを押さえられたような刺激が走る。

紀伊國屋書店「書評空間」→http://booklog.kinokuniya.co.jp/ohtake/archives/2013/07/post_86.html

 (書籍購入はこちらから)
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