【イベント】「本を作る、オープンディスカッション」金山貴宏-7月23日(土)/REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD-

今秋小社から写真集を出版予定の金山貴宏さんが、墨田区 曳舟のギャラリー REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLDさんにて「本を作る、オープンディスカッション」に参加されます。

予約不要・参加無料ですので、皆さまお誘い合わせのうえぜひ足をお運びください!


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本を作るということはどういうことなのか、実際に今、まさに本作りをしている作家を招いてオープンディスカッションを交えつつ、一人の作家の本にたいする解釈を深める機会にしたいと思います。この機会は現在、応募受付中のRPSフォトブックマスタークラスに関心を寄せてくださっている皆様、また、今後本作りを考えている方々にも参考になると思います。ディスカッションだけではなく、今、こういう本を作ろうと思ってるけど、どう思います? という様な投げかけも大歓迎です。実際に今作ってるダミーがあったら是非お持ち下さい。

ゲストには今年の10月に赤々舎から写真集「While Leaves Are Falling...」を出版予定の金山貴宏さんを迎えます。日頃はニューヨークを拠点に活動しておられる金山さんですが、現在帰国中で鋭意出版に向けての準備がされている中でのこのトークの機会となります。赤々舎より刊行される「While Leaves Are Falling...」の出版に至るまでの経緯やこれからどの様に本造りが進行していくのかを含めたちょっと具体的なお話は勿論のことながら、2016年度のニューヨークのLight Workでのレジデンシーに参加された経験ついて、レジデンシーの利点や、応募の方法などもお話し頂く予定ですhttp://www.lightwork.org/air/
関連してアメリカのFellowshipやGrantについて最終的なアウトプットに繋がる、プロジェクトを可能にするための機会についてもご経験をシェアして頂くことになっています。


写真家と写真集をレビューする日「金山貴宏」
日時:2016年7月23日(土)午後7時から10時頃まで。
トークは60分から90分程度を予定しております、終了後は気軽に質疑応答や歓談の場としてお過ごしください。
会場:reminders photography stronghold
参加費:無料、参加申し込み不要(定員は30名程度ですので、お席がない場合は立席でもご参加いただけます。)
ゲスト写真家:金山貴宏
司会進行:STRONGHOLD GALLERYキュレーター・後藤由美
※敬称略


ゲストプロフィール:
金山貴宏
1971年東京都生まれ
1993年に映画製作を学ぶためにアメリカへ留学。1997年ニューヨーク市立大学 学士課程 (写真科)を終了する。2001年ニューヨークのSchool of Visual Arts大学院にて写真科修士課程修了後、2003年には国際写真センター(ICP)のドキュメンタリー写真科に籍を置く。
2016年ニューヨーク州シラキュースにあるLight Workのレジデンシー に参加、同年NYFA (New York Foundation For The Arts)の写真部門のFellowship(フェローシップ)を獲得する。
2016年10月、赤々舎から写真集"While Leaves Are Falling..."を刊行予定。2016年10月に新宿ニコンサロン、2017年6月にニューヨークのMiyako Yoshinagaギャラリーで個展開催予定。

NYFA Fellowship授賞の告知: http://current.nyfa.org/post/147104577308/nyfa-announces-recipients-and-finalists-for-2016

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作品について
「While Leaves Are Falling...」

その日は突然やって来た。その日以降、私が知るそれまでの母は私の記憶の中に永遠に閉じ込められることになる。

両親の離婚後、私は母、祖母、2人のおばの4人の女性に育てられた。
そして1991年、私が20歳になってまもなく母は統合失調症(精神分裂病)と診断された。発症後の母は言動も行動も昔の母とはまったく違う別人のようで、家族と交わす会話も意味不明で支離滅裂だった。学生時代から仲良くしてきた母の友人らは、彼女の言動や行動が以前とは違うと感じると猛スピードで去っていった。まるで彼女がそれまで歩んできた人生が一度に抹消されたかのように...。母が過去に存在した痕跡は、家族の記憶の中に漂う母と発症以前に撮られた写真のみとなり、母の主な居場所は実家ではなく精神病院へと変わった。

1999年春、4人の女性の長である祖母が死んだ。

祖母の死後、私はそれまで撮影することがなかった家族の写真を撮リ始めた。それらの写真のほとんどは、私がアメリカから日本に里帰りするたびに母と2人のおば、犬のケリーと共に旅行した際に撮ったものである。遠出を好まなかった祖母の存在は一家そろって旅行することを困難にさせたため、2001年から始まった家族旅行は欠如していた思い出を補う(つぎ当てる)かけがえのない経験となっている。旅行先はほぼ毎年同じで、祖母を含む家族全員で唯一来たことがある箱根や日光、福島、京都など、母とおばが若い頃から行きたかった場所が多い。

家族は自分の記憶の中にあるまま永遠に不変だ、と道理なく思っていた私にとって、祖母の死は過ぎ去っていった時間を鋭く意識させる出来事となった。これらの写真は、過去と現在の時間の往還を実現させてくれる大切な乗り物であると同時に、過去と変わりゆく現実に向き合うための試みでもある。

統合失調症について:
「統合失調症」は幻覚や幻聴、妄想が常に患者につきまとう精神疾患で、以前は「精神分裂病」と呼ばれていた。症状が慢性化するにつれ、それらの症状が一層強くなっていく。患者が体験する幻覚や幻聴、妄想は、患者にとっては実体験のごとく感じられ、絶えられないほどの不安や悶絶するほどの痛みを身体に引き起こすこともある。また、物事に対し何の感情もわかないなど、自分や他人の感情についての理解に障害があるため、社会や家庭で人と接しながら日常生活を営むことに支障をきたすケースが多い。