『石をつむ』という写真集をつくりました。
作品をつくり、予算を準備し、デザイナーに相談し、印刷所との打ち合わせや流通のことも考えていきました。 当然ながら作品だけつくるよりも、労力も時間もかかりました。
なぜそんなことをしたかといえば、二人の先輩の背中を見ていたということが大きいと思います。
一人は赤々舎の姫野希美さん。 写真家が有名だろうが無名だろうが、自分の信じた写真にはコストも顧みずに最大限いい本をつくろうとする人です。
もう一人は町口覚さん。 デザイナーという職業もありbookshop Mの本は、とにかくカッコよく印刷の美しさもすごいです。パリフォトのブースには、毎年ファンが新作を買いにやってきます。
この二人はクオリティに対して手を抜かず、時に過剰に見えるくらいの本をつくりファンに届けていくという一番シンプルなことをやり続けているようにぼくには見えました。
自分の責任でリスクを受け止め写真集を生み出していくというのはカッコよくもあり、ものをつくる上で大事なことでもあるように感じました。
そしてそれを知るには、自分でやってみるのが一番いいと思い、デザイナーの塚原敬史さんに声をかけ一緒に本をつくることにしました。
今回は写真集の先輩二人を招いてのトークイベントですが、前半ではどのようにしてあんなに強い写真集が生まれてくるのか、そこではどんなことが大事にされているのか、どんな思いで写真家を選んでいるのかを聞いていきたいと思います。
後半では、具体的に写真集ができるプロセスをまとめていきます。
写真集というのは大きくわけて、写真家、出版社、デザイナーが関わって出来上がっていきます。
その三者が集まり具体的な手順を話すことで、写真集の楽しみ方がグッと広がって見えてくることになると思います。
また、これから本をつくろうという写真家やデザイナーにとっては、先輩が経験を惜しみなく提供してくれる機会になるので、きっと得るものは大きいだろうと思います。
当日は会場で様々な本が見られるので、ぜひ話しを聞く前と聞いた後で写真集の見え方を比べてみて下さい。