『NEW TEXT』の表紙は、これまでに撮らせてもらった高校生・元高校生にNEW TEXTの文字を書いてもらい、それを写メで撮ってもらった画像を集めて、あたかも寄せ書きのようにデザインしたものになっています。
その1つ1つの文字は、それぞれの人生の今を表していると思います。
例えば、パン職人を目指して現在パリで修行をしている女の子のNEW TEXTは、厨房でまぶした小麦粉の上から指でなぞって文字を書いてくれたもの。
あるいは、ロンドンの芸術大学でデザインを学んでいる男の子は、ちょうどタイポグラフィの授業中だったようで、その授業の中でNEW TEXTを書いてくれた。こうしたワールドワイドな例もあったり、それぞれの物語があります。
この表紙案に決めてから形にするまでには本当に時間がなかったのですが、数百件ほどの文字が無事に集まったことにとても感激した。
ただ「NEW TEXTという文字を書いてくれればいい」とお願いしただけなのに、教室の黒板にチョークで書いてくれたり、顔にペインティングして書いてくれた子もいたり、みんなそれぞれ凝った文字を仕上げてきてくれた。そして、その文字を通してみんなが今どうしているのか、を感じ取ることができた。表紙にはそれらが定着されています。
一例を挙げてみましたが、その数百の文字の数々もいずれ紹介したいと思っています。(今、久しぶりにNEW TEXT文字の一覧を見たら感極まってきた...泣)
デザイナーの鈴木成一さんには、写メで送信されてきた数百枚の画像からこれら1つ1つの文字を抽出していただき、その作業は本当に大変なものだったと思います。
1人1人の写真を撮り続けてきて、10年をかけてこの写真集になったように、まさに多くの方の協力のもと、形になったのがこの表紙です。(小野)