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 浅田政志『NEW LIFE
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  Book Design:川名 潤 
  発行:赤々舎

  Size:242mm ×210mm
  Page:88 pages
  Binding:Softcover

  Published in Apr 2010
  ISBN
978-4-903545-57-8



¥ 2,600+tax 

国内送料無料!

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About Book 


累計1万5千冊の大ヒットとなった写真集『浅田家』の待望の続編!
浅田家の4人家族が、兄の結婚により5人となり、さらに赤ちゃんが誕生して6人になった。
新しい家族が増え、新しい命が生まれ、新しい生活、新しい写真へとつながっていくことを 『NEW LIFE』は、家族アルバムのかたちで表現する。


ハワイでの挙式のシーンに始まり、赤ちゃん誕生、その成長、、、と現実の時間に沿って構成されたなかに、 いつもながら、あるシチュエーションになりきる「浅田家」の写真が織り込まれる。
スナップとセットアップを行き来するようにして、やがてその境界も溶け合っていく。 家族全員がつくりだすエネルギーや豊かな関係が全編にあふれ、「アルバム」のもつ力が写真の原点として 立ち上がってくる。

今回、写真だけの表現にとどまらず、赤ちゃんのスナップに添えられた母の押し花や、新しいキャラクター・ リックの登場(兄による絵)、父の手書きの浅田家年譜など、1冊をみんなでつくりあげた。
写真の可能性をより開いたものにしていこうとする浅田政志、そして浅田家の意欲作である。


After publishing his award-winning book "Asadake" (The Asada Family), Masashi Asada continues to use his immediate family members as his subjects for "NEW LIFE." Asada's trademark style is a highly staged photograph in which he, his brother and his parents act out an often comic scene for the camera. "NEW LIFE" announces itself as an "Asadake Family Album," and the pages themselves are printed to look like a regular photo album. There are a few staged photos, but the subject matter is less conceptual this time around; Asada moves freely between staged photos and candid family snapshots. In particular, Asada dedicates a large section of the book to his brother's wedding, and the birth and early months of his newborn cousin. "NEW LIFE" is a tender, maybe even sentimental look at Asada's family. At the end of the book, he prints his own cell phone number, asking readers to contact him if they'd like to have their family portrait taken. It's a friendly gesture that seems to fit with the light approach he takes when photographing his own family.





Artist Information


浅田政志 | Masashi Asada > HP

1979年 三重県出身
2000年 日本写真映像専門学校 研究科卒業(当時:大阪市住之江区)
2003年 東京へ上京 スタジオフォボスにて2年半勤務
2007年 写真家として独立
2008年 写真集『浅田家』刊行(赤々舎)
2009年 第34回木村伊兵衛写真賞受賞
2010年 三重県立美術館にて個展「Tsu Family Land」開催
2011年 八戸ポータルミュージアムはっちにて「八戸レビュウ」参加
2011年 ミュゼふくおかカメラ館にて個展「記念日をつくる記念写真」開催
2011年 浅草浪花家にて「NEW LIFE」開催

1979 Born in Mie, Japan
2000 Graduated from Japan Institute of Photography and Film
2003 Moved to Tokyo, Works for Studio Fobos for 2 and half year.
2004~2008 Solo Exhibitions at many places (auracross, guildgalley etc.)
2008 Published 'Asada-ke (the Asada Family)' (AKAAKA Art Publishing, Inc.)
2009 Solo Exhibition 'Asada-ke', AKAAKA, Tokyo
2009 the 34th Kimura Ihei Photography Award
2010 Solo Exhibition ' Tsu Family Land', Mie Art Museum
2011 Group Exhibition 'Hachinohe Review', Hachinohe Portal Museum Hacchi, Aomori
2011 Solo Exhibition 'Commemorative Picture for The Memorial Day', Fukuoka Camera Museum, Toyama
2011 Solo Exhibition 'NEW LIFE', Asakusa Naniwaya, Tokyo





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Memoires 1983
古屋誠一 写真集
4,300円+税 | 228 × 193 mm | 312頁 | 並製本
アートディレクション : 古屋誠一
Memoires 1983
Photographs by Seiichi Furuya
4,300JPY | 228 × 193 mm | 312 page | softcover
Art Director : Seiichi Furuya
ISBN : 978-4-903545-03-5
Published in October 2006




About Book

写真家・古屋誠一、日本では実に9年ぶりとなる待望の新刊。1978年に結婚し85年に自ら命を絶った妻、クリスティーネの遺した手記が初めて読み解かれた。追憶の中でいつも行き着く83年、その1年間に撮影された古屋の写真とクリスティーネの手記が、厳然とした時系列に沿い緊張感をもって展開される。写真集が作品そのものである古屋の営みには、記憶の向こう側からやってくるものを凝視しようとする眼差しが深く、時間を意識の中に取り込む表現に新たな可能性を提示している。

パリで初めて彼女の手記を読んだ。 迷ったあげく「読めない」手書きドイツ語の手記を清書する決意をした。グラーツの街影もやがて闇の中に消えようとする、年の瀬も迫ったある日の午後、僕は知り合ったばかりの女学生に3冊のノートを手渡した。 1989年以来僕はこれまで6冊の写真集を編んだ。いずれも85年10月、東ベルリンで亡くなった妻、クリスティーネを想いながらつくったものだ。精神に異常をきたし、やがて自殺に至ったのだという平明な解釈では許されない「なにか」がずっとつきまとってきた。世に出た写真集は悲哀の主人公を生み、僕の無能さや、さらに覗き見的悦楽行為を指摘することにもなった。「事件」の当事者の一人であること、そしてそれを編むものでもあらねばならないということへの限界を感じ始めていた。

手記の存在を彼女の亡き後に知ったのだが、それを読むことはなかった。追憶の旅でいつも行きつく1983年、この年は僕の中で混乱し続けてきた。彼女の「異常」な言動が目立ち始め入院に至ったのはこの年の春だった。いま彼女が一年に渡り25回分の手記を残していることを知り得たが、7、8、11月と12月には記録がない。発見できなかった可能性が大きい。この年に150本あまりの35mmフィルムを僕が撮影したことも確認できた。 「事件」の残響から逃れるようにグラーツを発ってから2ヶ月が過ぎようとしていた。床一面に並べたコンタクトプリントを行き来する日々だった。タイプ打ちされた清書に赤い点線と疑問符、女学生も解読出来なかった部分だ。僕はまだ読みつづけた。ゆっくり、一字一句ゆっくりと追いながら日本語に訳していった。 3月末パリを去る頃、1983年に綴られた彼女の手記と僕の写真とで1冊の本を編んでみようと決意した。

古屋誠一/2006年6月/グラーツにて



"Memoires 1983" takes the reader through the entire year of 1983, in chronological order, using the photographs of Seiichi Furuya and the corresponding journal entries of his late wife Christiane. The reason for choosing 1983 is that it was in this year in which Furuya began to notice the symptoms of Christiane's depression, which would eventually lead to her suicide in 1985. Furuya felt that, with some greater distance from these events, it was important to show his photographs and Christiane's words together. Furuya's photographs tend to show his daily life in Austria, focusing on Christiane and their young son. It's now difficult to see them as anything but signals of the cruel fact that the two people were heading on different paths.
Christiane Gossler's diary entries appear in the original German and Japanese.

Book Previews

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Artist Information

古屋誠一 | Seiichi Furuya

1950年静岡県生まれ。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業。1973年にシベリア経由でヨーロッパに向かい、各地に点住し1987年以降はオー ストリアのグラーツを拠点に活動。「カメラ・オーストリア」誌の創刊、編集、「フォルム・シュタットパルク」の活動に参加し、日本の写真家をヨーロッパに 紹介するなど、幅広い活動を展開している。写真集に、1980年に滞在したアムステルダムからなる写真集「AMS」また1978年に結婚し1985年に自 ら命を絶った妻クリスティーネの肖像やヨーロッパ各地を撮影し続ける《Gravitation》シリーズ を 編んだ「Memoires」、「Seiichi Furuya Memoires 1995」や「Christine Furuya-Gossler Memoires, 1978-1985」、「Portrait」がある。2002年、「Last Trip to Venice」で第27回伊奈信男賞受賞。2003年、日本の現代写真家を紹介する展覧会「Keep in Touch」をグラーツにて開催。2004年、ウィーン・アルベティーナ美術館にて個展開催と同時に「alive」を出版、さがみはら写真賞を受賞。 2006年10月に赤々舎より、初めて公開するクリスティーネの手記を基に編集された写真集「Memoires 1983」を出版。


Born in Shizuoka, 1950. Graduated from Tokyo Polytechnic University. Since 1987, lives in Graz, Austria. Founded and Edited ' Camera Austria', introducing Japanese Photographers. Published 'Memoires', 'Seiichi Furuya Memoires 1995', 'Christine Furuya-Gossler Memoires, 1978-1985', etc. Won the 27th Ina Nobuo Photography Award, and Sagamihara Photography Award in 2004.

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MASQUERADE
澤田知子 写真集
2,500円+税 | 200 × 200 mm | 56頁 | 上製本
アートディレクション : 鷺草デザイン事務所

MASQUERADE
Photographs by Tomoko Sawada


2,500JPY | 200 × 200 mm | 56 page | hardcover
Art Director : Rosou Design Office

ISBN : 978-4-903545-02-8
Published in July 2006










About Book

2004年に木村伊兵衛賞とICP Infinity Award for Young Photographerをダブル受賞し、内外での活躍がいよいよ目覚しい澤田知子。様々な人に扮したセルフポートレイトを撮り続ける写真家の最新作シリーズは『MASQUERADE』(マスカレード)です。
篠山紀信氏による帯文に「澤田知子さん似のキャバクラ嬢50名。ぼく好きです。ぼく愛せます。癒されます。元気が出ます。全員指名します」とあるように、このマスカレード=仮面舞踏会の舞台はキャバクラです。現代的でライトなゴージャス感に満ちたこの舞台は、本来的には人間の長い歴史に常に存在した空間であり、仮面性と仮面性がせめぎ合う場所でもあります。澤田知子は一貫して「外見と内面の関係」をテーマとしてきましたが、この作品では"顔"に焦点を絞り、仮面かもしれないしそうでないかもしれない、誰もがその狭間にある、仮面性そのものの底知れぬ不思議と魅力を問いかけてきます。 "顔"の力に圧倒されながらページを繰るとき、読者は社会性や美意識の規範を超えた、より本能的な視線を注いでいるのかもしれず、50名の彼女たちの"顔"の前に晒されているのは、人間の本質に根差す何か、なのです。『MASQUERADE』は、澤田知子の展開において、一層大きな批評性とインパクトを獲得した作品と位置づけられます。

「MASQUERADE」展開催にあたって ―後藤繁雄
僕は写真について語る時よく、「写真が、できること」と「写真で、できること」の2つについて指摘する。写真が誕生して、200年もたっていないが、その間に、写真はあらゆる対象を撮りまくってきた。ポートレイト、風景、さまざまなオブジェ。人の欲望とカメラの欲望が共犯しあい、「イメージ」を活けどった略奪史と言ってよい。さて、あとまだ写真になっていないものは何だろう?と「写真」は考える。その衝動に加えて、いつの頃からか、「写真を使って」表現するというアプローチも生まれた。昨今の、コンテンポラリー・アートにとって写真というメディアは不可欠な存在でもあって、こちらは「頭脳プレイ」としての写真追求の道と言ってよいだろう。
さて、ならば澤田知子における写真とは何なのだろう?写真史をふり返るまでもなく、「写真」は風景とポートレイトからはじまった。他者を所有し続けること、これはマルセル・プルーストを写真狂に走らせた欲動だが、「顔」を「写真」にすることは、「写真の力」の決定的な起源である。澤田知子は現代のさまざまな女性にコスチューム・プレイしたり、職業にロール・プレイする。彼女はシンディ・シャーマンや森村泰昌のような変装するアートとして語られることが多いが、実は、徹底した「起源の写真」のアーティストなのではないかと僕は思う。変装していても彼女が狙っているのは、変装の見事さではなくて、「顔」の力なのである。一見、「写真で、できること」のフィールドに進みつつ、彼女は、そこにおいて再度、「写真が、できること」の起源を問い続けているのだ。   この『MASQUERADE』展は、澤田知子の原点とも言うべき「ID400」以前の初期作・旧作に加え、ホステスやリクルート、ガングロ、顔をはぎ続ける「MASK」などの新作で構成される。澤田知子が写真というものに対峙し続けた10年の総決算でありかつ、いよいよ本格化する彼女の写真戦争宣言とも言うべきものなのだ。 再度言う。澤田知子の写真を、コスプレアートだと思ってはいけない。これは、写真史第二ステージの、重要な始点となるべき展覧会なのである。
  (MASQUERADE展プロデューサー/KPOコミッティー・メンバー/京都造形芸術大学ASP芸術表現・ アートプロデュース学科長)

「MASQUERADE」展によせて ―澤田知子
私がセルフポートレイトを撮り始めたのは、大学での写真の授業で「セルフポートレイトを撮る」という課題がでたことがきっかけでした。
それからセルフポートレイトを撮り続けて今年で10年になります。この度の「MASQUERADE」展では、その10年前の初期作品とあわせて、今もっとも興味がある"顔" を中心としたシリーズで構成しました。自身の「外見と内面の関係」という大きなテーマはずっと変わっていませんが、そのテーマの中で様々に私自身の考えや想いは変化し、興味の中心も移行していきました。初期の作品と最新の作品、そして今まで行ってきた「OMIAI」シリーズの人気投票の途中結果発表とともに、この度の展覧会での人気投票にもご参加いただき「MASQUERADE」展を楽しんでいただければと思います。
10年前アーティストになりたいという強い気持ちはありましたが、何を作れば良いのか、自分にあった手段は、テーマは何なのか、様々なことを考え悩みながらも、初めてKPOキリンプラザ大阪を訪れた時に、いつかここで私も個展を!と願っていた夢を10年目にして叶えることができ大変嬉しく思っています。いつも多くの方に支えられ10年間続けてこられたこと、この展覧会を開催できることに感謝し、これからも頑張りたいと思います。

"MASQUERADE" is a series of self-portraits in which Tomoko Sawada completely changes her makeup and hairstyle for each photograph. Still, although she becomes a different woman on every page, these self-portraits always maintain the concept of "outside and inside." All of the photographs fit a particular type: Sawada's clothes and heavy makeup, as well as the way the photographs are shot, make them look like photographs of hostesses which would be displayed outside a "kyabakura" club, most likely in one of Japan's seedier neighborhoods. While a "kyabakura" club is not a brothel, it's a place where men pay money to talk to and drink with women who are made up in the exact style that Sawada has chosen. She's gone as far as to completely whiten her face, which heightens the difference in hairstyle and makeup from one photo to the next. While "MASQUERADE" could be read as a comment on Japanese culture, it's also a masterfully executed performance. This book won the 2003 Ihei Kimura Photography Award, while Tomoko Sawada won the 2004 International Center of Photography Infinity Award (Young Photographer category).

Book Previews

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Artist Information

澤田知子 | Tomoko SawadaHP

1977年神戸生まれ。成安造形大学デザイン科写真クラス研究生修了。大学の卒業制作で撮影した「ID400」が、2000年に新人アーティストの登竜門的存在のキャノン「写真新世紀」で特別賞を受賞。その後、成安造形大学デザイン科写真クラスの非常勤講師をしながら、様々な人に扮してお見合い写真をとった「OMIAI」、ガングロギャルに扮した「cover」など、次々と作品を発表。2003年に発表した「Costume」とそれまでの活動が評価され木村伊兵衛写真賞を受賞。同時にニューヨーク国際写真センター(ICP)主宰の「The Twentieth Annual ICP Infinity Award for Young Photographer」も受賞。海外での評価が非常に高く、NY、ロンドン、ベルギー、ウィーンなど世界各国で展示会を行なっている

Tomoko Sawada was born in in Kobe, Hyogo, Japan, in 1977. She graduated from Seian University of Art and Design in 2000 and completed a postgraduate course the following year. In 2000, Sawada was awarded a Special Prize in the Canon New Century of Photography competition. In 2004, she won the 29th Kimura Ihei Memorial Photography Award and the Young Photographer in New York Award at the twentieth Annual Infinity Awards. She held a solo exhibition of her work at Zabriskie Gallery in New York in 2003. Her work has also been shown as part of group shows like "The Self" (Photoespana, Madrid, 2002) and "About Face: Photography and the Death of the Portrait" (Hayward Gallery, London, 2004). Sawada currently lives in Kobe.


SEX

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SEX
徐美姫 写真集
4,000円+税 | 303 × 402 mm | 48頁 | 上製本
アートディレクション : 中島英樹
SEX
Photographs by Miki Jo
4,000JPY | 303 × 402 mm | 48 page | hardcover
Art Director : Hideki Nakajima
ISBN : 978-4-903545-01-1
Published in June 2006

Out of stock



About Book

『SEX』は徐美姫(じょう・みき)の第一作目の写真集です。ロバート・フランクをして「wonderful」と感嘆させたこのシリーズは、波や水の動きを見つめたモノクロの作品21点から構成されています。それは徐の30年の生の流れそのものであり、セルフヌードともいえる生身の強さに満ちています。かつ、強大で変転しつづける対象を見つめ体感することで、自分でありながら自分を解き、波の向こう側の大きなものと向かい合う、深い抽象性をも獲得しています。
「SEX」、性、性交、生まれつき、さが、男女の別、物の性質。
それらすべての凶暴で繊細な響きを込めて、『SEX』は生まれました。男が男であること、女が女であること、人が人であること。そこに生じる否応のない距離とエロス、共に生きようという関係性こそが、徐が写真に見つけたものなのかもしれません。

『SEX』について 徐美姫

この写真集はモノクロームで波や水の軌跡を追いかけた写真、計21点により形成されています。撮影場所は私が育った北陸日本海沿岸です。
私は写真を知り、まだ4年にもなりません。この写真が展覧会とともに私個人の言葉となり世に出るのはこの機会が初めてです。
写真を撮りはじめて、2年が過ぎようとしていたとき、写真を通して見つめることがどういうことなのか、写真って一体何かなという素朴で大きな疑問にぶつかりました。
それまではただ写真と仲良くなるのに夢中で、写真を撮る行為について考える時間も頭もなかった。
この素朴な疑問に対して立ち向かった、今現在の結論がこの写真です。
この写真は私のセルフヌードに匹敵すると私は考えています。
しかし、何故私はセルフヌードという形式をとらなかったのか、何故、祖国韓国や家族、身の周りの出来事に眼を向けることがなかったか、何故。それは私の生い立ちなどにも附随しています。
私は在日韓国人です。しかし自身の存在は韓国人でありながら、韓国人ではないという曖昧な疑問。そして家族。私は15才から家族と離れたので、家族という存在や響きにはとても馴染めず、家族を撮る行為は私にとって日常からさらに遠のく行為でした。
私の周りには確固たるアイデンティティが存在していないと感じたとき、何よりも強大で大きなものに自然と足が向いたのです。
とても大きいことが私にはっきりと「そうだ、何てことはない」と教えてくれました。自分自身が粒子になるような感覚でした。そして、写真を撮る行為とは共生することなのかもしれないとふと感じた。不思議なもので、日本海は私の生まれた場所に面していると同時にまだ見ぬ韓国の地にも面しているのですね。後から気がつきました。 "sex"というのは、物の性質という意味合いもあります。
私は自身の性、男が男であるということ、女が女であること、人は人なんだということを想い、この作品を世に出します。

『SEX』に寄せられた言葉たち

堕ちていく――写真という絶対表面、その底なしの淵へ
竹内万里子(批評家)

徐美姫の撮ったモノクロの海は、わたしのなかにある海である。それは少しも穏やかなものでなく、暴力的で正視できない。それでも見ずにはいられなくて、見ているうちに泣いてしまった。生きる者ならきっと知っている。どうしたって手懐けられない、貪欲に沸き続ける泡のような哀しみ。
小池昌代(詩人)

写真の向こうから、音が聞こえてくる。ときに激しく、ときにせつなく、ときにひそやかに、生命力をみなぎらせて。それはまるで私たちの息づかいのようだ。 これらの写真はどうしようもなく私を不安にし、 同時に安堵させもする。きっと、ひとりであることを思い出させ、だからこそだれかを求める気持ちを思い出させるからだろう。
角田光代(小説家)

この写真集を見て、感じて想う何かが、ひとを少女にさせる。 本を閉じ灯りを消して、布団の中で夢想するのは、 切なかったり悲しかったりしない、あたたかなセックスだ。 そんな美しいことが起こるかもしれない写真集だと、ぼくは思った。
豊田道倫(音楽家)

深閑とした中に、音の気配がある。寄せる波ではなく、引く波の音だ。砂粒が、小石が、水泡に揉まれ、声をあげて引きずられていく。 私は波の行方に目を凝らす。その遥か先にある多くの生命を意識する。彼らの歩んだ長大な道程に打ちのめされる。わかっていることなんかごくわずかだ、と口中で呟く。
spotting/木内昇


Readers expecting something literal from Miki Jo's "SEX" will be disappointed: the book is a study of the movement of water. "SEX" is an extremely large book, which highlights the power of the waves that Jo photographs. Perhaps in showing the rushing of an ocean wave, or in plunging beneath the surface of the water to capture a turbulent image, we can find some relation between the book's title and its content. It seems possible that the photographs in this series represent Jo's idealized vision of sex. In this way, the different states of water--sometimes powerful, sometimes at rest--represent a highly poetic vision.

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Artist Information

徐美姫 | Miki Jou

1974年 福井県生まれ。国籍 韓国。
2002年 写真を始める。
2006年 写真集『SEX』(赤々舎)発売 (6月3日)、「4人展」(SHUGOARTS)同作品出展。

書籍、雑誌などの媒体でも活動する。 現在、東京在住。


Born in Fukui, 1974. Lives in Tokyo. Jou's nationality is Korea.
Jou started photography in 2002. Published 'SEX' in 2006.

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書の棲処
華雪 作品集
2,300円+税 | 137 × 221 mm | 120頁 | 上製本
アートディレクション : 中島佳秀

A Dwelling for Writing Characters
Calligraphies by Kasetsu


2,300JPY | 137 × 221 mm | 120 page | hardcover | Texts are all written in English and Japanese
Art Director : Yoshihide Nakajima


ISBN : 978-4-903545-00-8
Published in June 2006








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About Book

華雪(Kasetsu)はこれまで、作品としての字と普段書かれた字の境界はどこにあるのか、字が芸術、実用にかかわらず魅力を持ちうるのは何に拠るのかを探りながら、制作を続けてきました。
本書は、華雪にとって初めての書の作品集であると同時に、自分が書いている場所、そして書の棲処とは何処なのかを問い直した一冊と言えます。
日々の暮らしをいとなむ自分と、書く自分。その連環を通して深められる「生」そのものが、華雪の作品には刻まれています。身体を使って書く一回性の行為の中に、一つの字と、自分自身と、さらに自分を超え出たものとの対話が潜んでいます。
華雪の作品と文は、表現としての書の可能性を探る本質的なものと位置づけられます。
本書収載の写真は、写真家・志賀理江子による撮り下ろし。志賀は現在ベルリンを拠点に活動し、国際的に注目される新進作家です。書の棲処を、字そのもの、空間、そして人の中に捉えて、独自の奥行きを持ち得ています。

刊行にあたって 華雪

5才の時から子供のための書道教室で毎週、筆で字を書いていた。漢字を覚えながら、字を書いていた。字を書くために漢字を調べる。漢字を調べると象形文字が載っていた。絵文字を見ながら、そのなりたちを見ながら、漢字を覚えた。漢字を調べていた字典が白川静という一人の人の手によるものだと知ったのは字典を開くようになってから、随分時が経っていた。字典の中で、漢字は自分のなりたちを語り、自分達が組み合わさって表した言葉を熟語という形で話していた。ひらがなという音で話していた。白川静という人の手によって、ひとつひとつの漢字が抱えている意味、音、形がこちらに向かって伝わってくる。大昔の出来事がたった今の出来事のように伝わってきた。そんな目の前の字典の中の漢字と私も話してみたかったのだ。字を書くと対話できた。幾度も同じ字を書くと、その字と仲良くなれた。
ある日、教室で一枚の写真を見た。丸坊主の男の人が着流しで片脇に書き損じた紙の束を抱えた後ろ姿の写真だった。たくさん書いた字の中から残すものを選び出した後、残ったものを燃やしに行くのだ。静かに見えるその後ろ姿は怖かった。その写真を見たとき、私は字を書くことを子供ながらに初めて強く意識をしたのではなかっただろうか。その後ろ姿が強烈に目に焼き付いていた。字を書くことはこれほど怖く強いものを放つことなのだと、思った。その人は井上有一という人だった。彼はもうこの世にいなかった。

同じ字をたくさん書くと、字と仲良くなれる。そして時間が経つとこんな風にしか書けないのかと思う。自分の選んだ字に裏切られる。それでも信じて、まだ書き続ける。字を書く時間の中で、自分が剥き出しになっていく。白川静という人は漢字に息を吹き込んだのだ。字典のページを開くたびに今なお思う。そしてその息を吹き込まれた字を、字を書くことで動き出させてみたい。踊り出させてみたい。涙を流させてみたい。そこに自分も重なっていく。そしていつからか私も書き損じを片脇に抱えて立っていた。いつか見た写真のように私も立ってみたかったのだ。私はどんな背中をしているのだろう。
ひとつの字を書くことは、一人の人と向き合うことに似て、生きていることを強く実感できることだった。字を書くことには今がある。 この本を作ることは、私にとって、字を書く、その時間の中に浮かんでいること沈んでいること全て隅々まで光を当てることだった。

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Artist Information

華雪 | KasetsuHP

書家
1975年京都生まれ。1992年より個展を中心に活動を続ける。
刊行物に、『静物画-篆刻ノート-』(2001年、平凡社)、『石の遊び』(2003年、平凡社)、雑誌「アイデア」特別付録『枕と燈台』(2003年、誠文堂新光社)、『書の棲処』(2006年、赤々舎)がある。
近年の個展に、「0 zero」(2003年、graf media gm)、「雲と仮面と、雨粒の鳥」(2004年、絵屋)、「食事窓」(2005年、Sewing Table Coffee)、「手紙匣」(2005年、colon books)がある。
また2002年からはワークショップを京都精華大学公開講座などで続けており、2005年にはワークショップイベント「書と篆刻」を原美術館で行う。 現在東京在住。

Kasetsu is a calligrapher. She was born in Kyoto, 1975.


Publications

2006 A Dwelling for Writing Characters (AKAAKA ART PUBLISHING, Inc.)

2003 Playing on Stones (Heibon-sha)

2003 A Pillow and a Light Stand A separately bound magazine supplement in IDEA (Seibundo-shinkosha)

2001 A Still Life-Notes on Seal Engraving (Heibon-sha)


Recent Exhibitions

She is currently residing in Tokyo.


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