About Book
序文より
この作品集はチェコの状況をシンボリックに月並みな視覚効果をもって表現しているのではない。かれは、ただ彼自身の現代社会への視点を描いているだけなのだ。この作品群はあらゆる意味においても「チェコ・エデン」には当たらない。そのかわりに、独創的で、私的で、そして効果的な方法で、ひとりの現代人が馴染みのない世界に対して抱く様々な心情をとらえる。巡礼者として、モンティスはその中に居ながらほとんどの場合孤立しているのだ。
この本の冒頭にある、岩盤の中で撮影されたチェスキー・ラーイ(チェコの楽園:プラハから97km北東に位置するユネスコの自然保護区)の写真はまさに象徴的だ。階段は何ら明確な目的地へと上がっていかず、ただ狭い通路のどんよりした光景のみがある。そしてもう一つの岩石の写真である洞窟。言い換えれば暗闇へ続くもう一つの旅。人々は多くの孤独のうちに描写されている。(中略)
私たちの国ではこの孤独、この相互の孤立は多分にフランツ・カフカによって大変効果的に描かれた。私にとって、マシュー・モンティスの写真は、この文学の鬼才により打ち出された世界を周遊する旅のように感じられるのだ。
この写真家がチェコの観光旅行へと連れて行ってくれる、と期待する者は裏切られるであろう。彼らが珍しい石の都市などに興味があるのなら、インターネット上に何百枚もの写真を見ることができる。それよりも現代の世界は、最も説得力のあるやり方で彼らと向き合い、単なる情報以上を伝達しようとする芸術作品の重要性を知ることになる。
イヴァン・クリーマ (作家) による序文より抜粋
Artist Information
マシュー・モンティス | MATTHEW MONTEITHHP : http://www.matthewmonteith.com/
1974年 ミシガン州ハウエル市生まれ
2004年 エール大学美術学修士号取得
現在、ニューヨーク市ブルックリン在住 ニューヨーク・タイムズ、ル・モンド、リベラションなどの紙面で取り上げられ、マーティン・パーによる紹介記事によっても知られる。
Matthew Monteith studied at the International Center of Photography before earning an MFA from the Yale School of Art in 2004. He was a Fulbright Scholar in the Czech Republic from 2001-2002 and the resulting work was published as Czech Eden by Aperture in 2007. He had a residency at the Marie Walsh Sharpe Foundation in New York City in 2004-05 and received the Abigail Cohen Rome Prize in Photography from the American Academy in Rome in 2008. His editorial work has appeared in many magazines, including GQ, The New York Times Magazine, Interview, W, and Dwell and his artwork has been exhibited in solo exhibitions in San Francisco, Kyoto, Paris, Arles, and Cherbourg as well as in group exhibitions in New York, Charlotte, Miami, Washington D.C., Rennes, Ljubljana, Prague, and Rome. He lives and works in New York.