トらやんの大冒険(特装版)
ヤノベケンジ 絵本
ヤノベケンジ 絵本
写真 : 大場美和
アートディレクション : 豊永政史
240x225mm|上製|64頁
発行者 : Akio Nagasawa Publishing
発売元 : 赤々舎
3,800円+税
ISBN : 978-4-903545-17-2
Published in August 2007
アートディレクション : 豊永政史
240x225mm|上製|64頁
発行者 : Akio Nagasawa Publishing
発売元 : 赤々舎
3,800円+税
ISBN : 978-4-903545-17-2
Published in August 2007
About Book
鹿児島県霧島アートの森 での個展にあわせて発表となるこの絵本は、妄想のファンタジーと、現実のドキュメントによる構成で展覧会場でのインスタレーション作品の一部として機能します。 あとがきより
1997年6月、私は放射能防護服「アトム・スーツ」に身を包み人類史上最悪の原発事故を起こしたチェルノブイリを訪れた。
大阪万博跡地で幼少を過ごした体験から「未来の廃墟への巡礼」をコンセプトに、アートで社会問題を提示する。それがただ安っぽい正義感と浮ついた功名心にとらわれていた事に気づくのに左程の時間はかからなかった。
その地に足を踏み入れたとたんロマンチックな幻想は粉々に打ち砕かれる。廃墟となった街の、朽ち果てた観覧車や映画館を見ているうちはまだ平気だった。動揺が走ったのは高放射能濃度で居住を禁止されている区域の森に住む人々に出会ってしまった時である。住み慣れた村に戻って来た老人、母親と二人で住まざるを得ない3歳の少年。防護服の私を歓迎する人なつこい森の住人達の笑顔とは裏腹に、ヘルメットの中の私の顔は困惑に歪んでいた。
あれから10年。作品を作り発表を続けた行為は、あの日出会ってしまった人々への答えを求めるあがきみたいなものである。表現の名の下に人間の魂を忘れかけていた若き日の自分を更生させる格闘の旅でもある。その旅はいまもまだ終わらず、あの時拾い上げた人形と壁に描かれた太陽とともに、まだしばらくは続けて行く事になるだろう。
2007年 6月 ヤノベケンジ
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Artist Information
ヤノベケンジ|Yanobe Kenji > HP1965年 大阪府生まれ。
1991年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。
1990年 初頭から現代社会におけるサヴァイヴァルをテーマに、実際に装着したり乗って動かしたりできる大型の機械彫刻作品を数多く制作。
21世紀の幕開けとともに、リヴァイヴァルへとテーマを移行。
2003年 集大成的展覧会「メガロマニア」(国立国際美術館、大阪万博跡地)を開催。
2004年 半年間に渡る滞在制作「子供都市計画」(金沢21世紀美術館)
2005年 「キンダガルテン」(豊田市美術館)
2007年 「トらやんの世界」(鹿児島県霧島アートの森)など、既成のアートの枠組みを超えた創造的活動を次々と展開している。
現在、大阪府在住。