Publishing

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 中井菜央『雪の刻』
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  Book Design:須山悠里 
  

  発行:赤々舎

  Size: H255mm ×  W210mm
  Page:176 pages
  Binding:Hardcover

  Published in Feb 2022
  ISBN
978-4-86541-142-3


¥ 5,000+tax 

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About Book


雪が律する時間、雪が生み出す存在。


中井菜央は、2015年より毎冬100日を新潟県津南町で過ごして撮影を続けてきました。2020年6月からは、約1年間津南町に滞在しながら撮影。
主な撮影地とした津南町と、津南町に隣接する十日町市、長野県栄村は奥信越と呼ばれ、積雪が多く、世界有数の豪雪地帯です。
この地域に降り積もる多湿で重たい雪の「個性」に惹かれ、中井は雪がつくりだす風景・光景、雪国に生きる人々を撮り続けてきました。 

「雪がない時に雪の存在を感じる」
その気づきから見出された、天地の感覚を失うような雪の落下や、どこからともなく浸み出す水の気配。ねじれて進む季節。
緑のうねりとかつての雪は通じ、さまざまな穴に覗く時間の淵や、類を超えて響きあう生命が写し出されていきます。
この地の8000年前からの歴史を抱く地層や土器、森の色の違い、集落の人々の瞳の色。
中井が捉えた、過去も現在も雪によって律せられているその大きさは、私たちの存在を問いかけ、見えない渦へといざないます。

重力や連続性から解き放たれ、凍結したような写真とそれらの構成の中に、雪の重層的な時間の厚みは生まれます。
写真が記録したものがドキュメンタリーを超えて提示する、「雪」と「時間」をめぐる集大成です。




"7 年前に北の豪雪地を巡り始め、そしてたどり着いたのが新潟は津南町、豪雪地としてはかなり南に位置する場所でした。そこで目にしたのは、雪が3メートルの高さで居座って、昼間には融けて緩み、夜には凍って締まり、大波のような造形になり街にのしかかって全てを呑み尽くしているさまでした。
私はここで撮影をしようと決めました。




空の雪雲は光を奪い、地の積雪は音を吸い尽くし、室内には変化が無くて、時間が停留していました。その果てない静寂を打ち破るのが、屋根の積雪が滑落して上げる轟音でした。止まっていた時間も急迫します。しかし、室内では身の危険を覚えるその騒動も、この地全体では極小の一点です。ピンホールは雪に塞がれて、事の前にも増して音と時間の絶えた世界へ戻ります。


4 月も半ば、積雪の内部に滴下の音が聞こえだします。雪が融けて空洞が生まれ出したのです。そんな微細な変化は、徐々に結びついてクラスターとなり、その度合いがある地点を越すと、爆発的な変化へと転じます。空洞は外部への穴となり、そこから時間が、色彩と音と匂いを引き連れて現れ、その身をよじるようにして無理にでも先に進もうとし、動植物は種も類も超えて重なり合い、融けて一つの命に合したようになるのです。自然も人も湧き上がる時間を刻みます。




この地に雪が降り出したのが 8000 年前。それを証す地層。雪を機に人の生活も文化も変異したことを示す土器。雪に捻じ曲げられた大木小木の姿が常に揺れの錯覚を生む森。野に還りながらも過去を語ってやまない跡形の村、田。多湿な雪の反射光のもと、生まれ、老いる人々が持つ淡い墨色の瞳。




万物がそれぞれに刻む時間が、かつて刻んだ時間と一つに融けて響き、その無二の響きが在るところ、それが、この地。地の名は消えゆき、ある「雪」の降る領野へ......。

私は「雪」が律する「時間」を撮ろうとしました。"


中井菜央『雪の刻』あとがきより



THE TIME RULED BY SNOW 

Nao NAKAI


Seven years ago, I traveled around the areas in the north with heavy snowfall before heading south, arriving at Tsunan Town in Niigata. What I saw was three meters of persistent snow--melting and softening in the daytime, freezing and compressing at night--like large waves sweeping over the city, engulfing everything. I decided to shoot there.

The snow clouds took away the light in the sky, while the snow that had accumulated on the ground completely absorbed sound. But inside the house, nothing changed. Time stood still. The endless silence was broken by the roar of the snow sliding off the roof. Time, which had stopped, became more urgently present. However, such commotions that feel life-threatening for those staying inside are just tiny dots spread across the whole place. The pinhole, plugged with snow, brings us back to the world where sound and time are even more inanimate than before the event took place.

In the middle of April, we started hearing a dripping sound from inside the snowpack. The snow has melted and created a hollow space inside. Such minute changes gradually link with each other and form clusters. When the degree of change exceeds a certain point, it undergoes an explosive transformation. The hollow becomes an opening to the outside, through which time emerges with colors, sounds, and smells, twisting and forcing its way forward, while plants and animals--transcending species and categories--overlap and merge as one life. Time invigorates nature and people. 

It was 8000 years ago that snow began to fall on this land. The strata have proven it. Earthenware shows how people's lives and culture mutated in response to snow. A forest of large and small trees, twisted by snow, creates the illusion of constant swaying. Even after the land returns to its original state, the traces of the villages and rice fields never cease to speak of the past. The pale black eyes belong to the people who were born, and grew older, under the reflected light of the humid snow.          

This is a place where time is carved individually by all things, melting and echoing the time once carved, creating a singular vibrancy.

As its name dissolves, the land reverts into a zone where "snow" falls.

I tried to capture the "time" ruled by the "snow."






Related Exhibiton




中井菜央「雪の刻(とき)」
あざみ野フォト・アニュアル


会期:2022年1月29日(土)〜2月27日(日)
時間:10:00〜18:00
会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 
(横浜市青葉区あざみ野南1-17-3)

会期中無休、入場無料



関連イベント「雪の刻」対談


|219日(土)14:00-15:30

出演|中井菜央(企画展出品作家)、佐藤雅一

(津南町農と縄文の体験実習館なじょもん学芸員)

会場|3 アトリエ

定員|30

参加費|500円(要事前申し込み



関連イベント「雪の刻」アーティスト・トーク


時|226日(土)14:00-15:00

出演|中井菜央(企画展出品作家)

聞き手|佐藤直子(担当学芸員)

会場|3 アトリエ

定員|30

参加費|500円(要事前申し込み




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Artist Information 



中井菜央 

1978年 滋賀県生まれ 東京都在住 

2006年 日本写真芸術専門学校卒業


主な個展

2022「雪の刻」横浜市⺠ギャラリーあざみ野(神奈川)
2021 「破れる風景」津南町農と縄文の体験実習館なじょもん(新潟)
2019 「繡」gallery Main(京都)
2019 「繡」Classic Lab 柳の家(新潟)
2018 「繡」Roonee 247 fine arts(東京)
2014 「未明」銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン

主なグループ展

2021 「人間より大きな世界へ」榕异美術館(上海)
2019 「KG+SELECT」元淳風小学校(京都)

受賞

2008  第4回「名取洋之助写真賞」奨励賞



Nao NAKAI


1978 Born in Shiga Prefecture Lives and works in Tokyo

2006 Graduated from Nippon Photography Institute


Solo Exhibitions

2022 "THE TIME RULED BY SNOW"Yokohama Civic Art Galley Azamino,Kanagawa
2021 "landscape fragment" the Agriculture and jomon Experience facility, Tsunanmachi, Niigata

2019 "Shu" Classic Lab "Yanagi no Ie", Niigata
2019 "Shu" Galley Main, Kyoto
2018 "Shu" Roonee 247 Fine Arts, Tokyo
2014 "Mimei" Ginza Nikon salon, Tokyo, Osaka Nikon salon


Group Exhibitions

2021 "The World Beyond the World" Rongyi Art Museum, Shanghai
2019 "KG+Select" Former Junpu Elementary School, Kyoto


Awards

2008 The 4th Yonosuke Natori Photographic Award- Encouraging Award





Related Items



                      中井菜央『繡』

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 小野啓『モール』
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  Book Design:groovisions
  Cooperation:silverbooks

  発行:赤々舎

  Size: H182mm × W226mm
  Page:116 pages
  Binding:Hardcover

  Published in Junuary 2022
  ISBN
978-4-86541-139-3


¥ 3,000+tax 

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About Book


私たちが生きている場所を問いかけるモールの風景


小野啓は、2002年から「青い光」や「NEW TEXT」というシリーズで日本全国の高校生を撮り続けてきました。
ウェブを通じて撮影を希望してくる彼らと出会うために、小野は日本中を移動し、各地でモールの建設が増えていることを実感します。やがてモールは、被写体である高校生たちの馴染みの空間として、撮影場所にも多く登場するようになりました。
モールの風景を捉えることは、変化していく日本の風景を見つめ、そこで生きる私たちの生活や在り方を問いかけることになるのではないか──小野は2010年代に入り、モールの撮影を本格的に継続します。
人の欲望やそれぞれの差異を覆い隠す、巨大な箱のような外観。その中に登場する人々の、日常と地続きでありながら少し浮遊するような振る舞い。ひとつの街でもあるモールは、地元の風景にどのように接続し、見え隠れするのか。
そして時間の経過によって廃墟となるモールも現れ、しかし今日もどこかで建設が進む現場。
20年にわたる撮影を通して、人々の共通体験となったモールを記録し、その内側と外側から、社会の循環と人の営みを見ようとする試みです。





"見えてきたのは、自分が生きている場所だった。モール周辺には新しい住宅の建設が行われている。ロードサイドには家電量販店や外食のチェーン店が立ち並び、流通のトラックが行き交う。こういう場所に僕たちはいるのだ。それまでぼんやりと個別に認識していたものたちが 、モールを介してつながるようだった。 写真学生の頃から長年使用してきた中判レンジファインダーのカメラが、このテーマに適していると確信していた。脚を反転させ折り畳んだ三脚を携えて 、歩き続けた。それは、ポートレートからランドスケープへの拡張だっただろうか 。"  

小野啓 あとがきより



"こんな具合にモールについて調べたり、考えるようになったのは、モールは大きな存在にもかかわらず、誰もその歴史や意味について考えていないように思えたからだ。人は、日常的に存在している当たり前のものについて、深く考えたりはしないものだ。一方、モールは社会的にも軽視される風潮にある。有名建築家は美術館や図書館には設計に積極性を見せても、モールの設計に興味を持つことはない(海外の案件は別だったりもするが)。モール建築で有名なジョン・ジャーディーという建築家がいるが、彼はモール以外の世界においてはあまり有名ではない。都市計画や政治学の研究者が公園や広場に興味を持つのは、それが公共や民主主義とつながるから。だがモールは公共とも何主義ともつながっていないように見えている。結局のところモールは、無個性でアノニマスで大衆的な商業施設でしかない。
それでもショッピングモールは世界でもっとも普及しているもののひとつになり、根を張るように存在する。あらゆる専門家は軽視するモールだが、写真家はどうこれに向き合うだろう。(中略)
ショッピングモールの写真集を見てみたいという思いを昔から抱いていた。それが実現したことを喜びたい。"


速水健朗 寄稿「ショッピングモールは、人生にとって必要なものではない」より





"「サイダーのように言葉が湧き上がる」というモールが舞台のアニメ映画を作ったのだが、似たような外観、内観だと思っていたそれにも個性があるのだと気づいた。コンセプトは同じでも、実はその土地に根差した作りになっていることが多い。で、これはモールを凝視するように観察しないと気づけない。アニメ作りは設定作りとも言えて、特に舞台となる美術設定を考える際は普段見落としがちな細部にも目を配る。だからモールごとの個性にも気づけたのだ。
今作にも同じような観察眼を感じる。見落としがちな細部を小野さんのアングルで切り取ると、何気ない場所でも誰かにとっての特別なのだ、とあらためて気づかされる。遠くから見れば塊感のある巨大で無機質な箱だが、その内部にはたくさんの人が行き交っていて、有機的な幾千通りの人生が確実に存在する。カメラの置き所でこれほど表情を変える被写体も珍しいのでは、とも思う。
写真集として見るモールも、さまざまな表情を見せてくれて心が躍る。そしてアニメ作りのため何百枚とモールの写真を撮った自分としては、個人的なシンパシーを感じてしまうのだ。"


イシグロキョウヘイ(アニメーション監督)



MALL 

KEI ONO


The mall makes me wonder what sort of world we are living in now. I wonder about the circulation of human activity, of the world in relation to humans.

Since 2002, I have been the photographing high-school students for a project that has resulted in two books: The Glare of Youth and NEW TEXT. Interested parties respond to a call I put out online, then I visit each of them in their hometown and take pictures at locations familiar to them. As the project went on, I realized that more and more of these students were choosing shopping malls. I've witnessed the mushrooming of gigantic shopping malls all over Japan. Now the malls are everywhere. Sometimes when I'm at one, I lose all sense of where I am. Something very new has been constructed in our society.

Almost twenty years have passed, and the high-schoolers whom I photographed are now in their middle or late thirties. They go to the malls with their new families. The mall is a very common after-school stop among teenagers today.

The project made me think that the scenes of the malls are, in some sense, the contemporary Japanese landscape. My generation missed out on the experience, but I've nurtured my own relationship with malls through photographing the students.

I started taking photos of malls in 2012. This series is a record of Japanese malls in the 2010s.[...]


The mall is like a city, although it is enclosed. Once you are out of it, you feel you no longer belong to it. The idea of whether you're inside or outside switches once you drive away from the building in your car, or in my case, when you take the bus to the nearest train station.

It has always been in the evening that I take a return bus. One day, I wanted to see the area outside the mall. I was curious, like Truman Burbank in the film The Truman Show.

What I found was simply the world in which I live. Around the mall, new residences were being built. Lining the streets were shops of major electronics retailers or fast-food giants, and on the roads were the trucks that supported it all. OK. This is our world. What I had thought of as separate things were in fact connected, and the mall was part of that whole too.

I was sure that the medium-format rangefinder camera was the best fit for the theme. I'd been using the camera since I was a student, and I walked tirelessly with it and a foldable tripod all over Japan. The nature of the project seemed to have expanded from portraits to include landscapes as well.

The more I walked, the more aware I became of the surroundings of each mall. Malls have sides to them that even their creators couldn't have foreseen; and that was the making of the world which we had subconsciously taken for granted. In the twenty years that I've done this, I've always tried to imagine the stories behind the people and places in my photos, but there are still so many things I don't know.

I want to know people. I want to understand this vast world, even a tiny fraction of it. For that purpose, I choose photography.


KEI ONO





Artist Information 



小野啓 

1977年 京都府生まれ 
2001年 立命館大学経済学部卒業 
2003年 ビジュアルアーツ専門学校・大阪写真学科卒業


出版物

2006年『青い光』(ビジュアルアーツ、青幻舎) 
2013年『NEW TEXT』(赤々舎) 
2017年『暗闇から手をのばせ』(silverbooks) 
2019年『男子部屋の記録』(玄光社)

 
個展

2006年「青い光」ビジュアルアーツギャラリー(東京、大阪、名古屋、九州)
2010年「群青」新宿ニコンサロン(東京) 
2011年「群青」大阪ニコンサロン(大阪)
2012年「NEW TEXT」ビジュアルアーツギャラリー(大阪)
2013年「NEW TEXT」72Gallery(東京)
2013年「NEW TEXT」AKAAKA(東京)
2013年「NEW TEXT」Place M(東京)
2014年「NEW TEXT」Place M(東京)
2018年「暗闇から手をのばせ」ビジュアルアーツギャラリー(大阪)
2018年「暗闇から手をのばせ」アーツギャラリー(名古屋)
2019年「男子部屋の記録」ビジュアルアーツギャラリー(大阪)
2021年「モールの風景」富士フイルムイメージングプラザ(東京、大阪)


受賞

2003年 富士フォトサロン新人賞奨励賞
2006年 第26回 写真『ひとつぼ展』入選
2006年 ビジュアルアーツフォトアワード大賞
2014年 第26回「写真の会」賞



KEI ONO


1977 Born in Kyoto, Japan
2001 Graduated from Ritsumeikan Univ., Department of Economics
2003 Graduated from Visual Arts Collage Osaka,Department of Photography


Publications

2006 The Glare of Youth, Visual Arts・Seigensha Art Publishing
2013 NEW TEXT, AKAAKA
2017 Reach out and Touch Faith, silverbooks
2019 Men's Room Record, Genkosha


Solo Exhibitions

2006 The Glare of Youth,Visual Arts Gallery, Tokyo・Osaka・Nagoya・Kyushu
2010 Gunjo, Shinjuku Nikon Salon, Tokyo
2011 Gunjo, Osaka Nikon Salon, Osaka
2012 NEW TEXT, Visual Arts Gallery,Osaka
2013 NEW TEXT, 72Gallery, Tokyo
2013 NEW TEXT, AKAAKA, Tokyo
2013 NEW TEXT, Place M, Tokyo
2014 NEW TEXT, Place M, Tokyo
2018 Reach out and Touch Faith, Visual Arts Gallery, Osaka
2018 Reach out and Touch Faith, Arts Gallery, Nagoya
2019 Men's room record, Visual Arts Gallery, Osaka
2021 Landscape of the Mall,FUJIFILM Imaging Plaza Gallery, Tokyo・Osaka


Awards

2003 Fuji Photo Salon the New Face Prize, Prize for Encouragement
2006 26th Photography "Hitotsubo Exhibition" Prize
2006 Visual Arts Photo Award, Grand Prix
2014 "Society of Photography" Prize





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               小野啓『NEW TEXT』

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『りんご通信 2』
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  Editor in chief:髙橋健太郎
  Editor  :姫野希美
  Design:大多和琴

  Cover photo:川崎祐

  発行:赤々舎

   Size: H406mm × W277mm
  Page:12 pages

  Published in Jan 2022

¥ 500+tax 

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About Ringo Letter


りんご通信 2号!


明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。2022年、はじまりのお便り・新聞として、りんご通信2号を皆様にお届け致します。

「りんご通信」は、小社HPから書籍をご購入頂いたお客様に無料で同封し、商品と一緒にお届けをするものです。また、りんご通信のみをご希望の方は、こちらのページからご購入いただくことができます。

創刊1号の8ページから増え、12ページ(!)となった今号では、木村和平、川崎祐、川瀬慈、清水裕貴の連載に加え、新たな寄稿者として、上原沙也加(写真家)、楠本亜紀(写真批評家、キュレーター)、椿昌道(赤々舎)、齋藤陽道(写真家)と、風景と人との関わりを想うエッセイが、波のように連なります。

枝葉を様々に持つように号を重ねながら、それぞれの場所で実りゆくものでもあるだろう「りんご通信」に、今年もぜひご期待くださいませ。

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「りんご通信 2」

川崎祐    本と明け方2  錘としての疾しさ
楠本亜紀   風景を手探る  第一回  はい、風景です。
木村和平   わたしは道すがら2
川瀬慈    虹の蛇
上原沙也加    北海道から。沖縄から。2 ─ ついの住みか
椿昌道      移動する写真集 ─ 台湾
齋藤陽道   ホットブルー日記
清水裕貴   Bar Landscape Vol.2 ─ 光のない部屋

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私の初めての写真の仕事は、国外の新聞からの撮影依頼でした。掲載された写真は、紙面の半分を占めてレイアウトされており、写真と読者に対する信頼だと勝手に感じた私は、そのことにとても驚きました。りんご通信の原点はそこにあります。それまで写真がそのような扱いを受けている国内の新聞を、少なくとも広告以外では見たことがありませんでした。その差異に私は、情報を複層的に伝えようとするメディアの一つの理想的な形態を見た気がしました。

一枚の写真、あるいは連なりの写真群は、それを見て理解しようとする側の意識をも拒もうとしているかのようでとてもわかりにくいです。その複雑さはまるで、この世界と私たちとの間に存在する理解困難な厚みのある隔たりそのもののように思えなくもありません。

がしかし、反面、今の日本では写真にまつわる印刷物が姿を消しつつあるように思えます。それは同時に、この社会が複雑さを受け止めるのではなく、わかりやすいものを消費するように仕向けられている現実と重なる気がしています。

であるならば今、あえて複雑さを詰め込みながら写真を軸に据えた読み物を定期で刊行してもいいのではないだろうか。そう思い立って作られたのがこのりんご通信です。写真だけでなく、言葉すらも破壊される国にあって、写真と言葉を同時に大切に紡いで行こうとするささやかな抗い、試みだと思っています。


りんごが木から落ちて初めて何かを知った。りんごを口にしてこの世界が一変した。りんご通信が届ける写真と言葉が、皆さんの小さな契機になれば嬉しいです。それぞれのりんごと、香港紙アップルデイリーに敬意を表して。
  

髙橋健太郎(りんご通信 編集長)



以前、松本市に住んでいたとき、駅前に魅力的な酒屋を見つけた。オーナー自ら、長野県内を中心に酒蔵やワイナリーを巡り、醸造の苦労や喜びをつぶさに知り、時間を共にしながら仕入れていた。松本を離れてからも、年に数回、手書きの学級新聞のような案内が届く。酒のこと、酒をつくる人のこと、酒を愉しむ人のこと。私もいつか、こんな「手紙」を出せたらと思うようになった。

ふとした夜の会話から「りんご通信」は生まれた。どんな本も忽然と出来るわけではなく、さまざまな水路が周りにある。その光景をお伝えすることから、会話が始まるのも素晴らしい。
そして、今回設けた「連載」という場が、行方を定めない戦きとともに、一冊を生む土壌となるだろうことも初めてのときめきとなっている。

姫野希美(りんご通信 編集員)

 
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『りんご通信 1』
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  Editor in chief:髙橋健太郎
  Editor  :姫野希美
  Design:大多和琴

  Cover photo:木村和平

  発行:赤々舎

  Size: H406mm × W277mm
  Page:8 pages

  Published in November 2021

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About Ringo Letter


りんご通信 創刊!


このたび赤々舎では、「りんご通信」を創刊致します。

「りんご通信」は、小社HPから書籍をご購入頂いたお客様に無料で同封し、商品と一緒にお届けをするものです。また、りんご通信のみをご希望の方は、こちらのページからご購入いただくことができ、今後は、オンライン記事としてもご購入いただけるようになる予定です。

記念すべき1号は、木村和平、川崎祐、川瀬慈、髙橋健太郎、清水裕貴らの言葉と写真による連載、そして、小社姫野のエッセイから始まります。

枝葉を様々に持つように号を重ねながら、それぞれの場所で実りゆくものでもあるだろう「りんご通信」にぜひご期待くださいませ。

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「りんご通信 1」

木村和平   わたしは道すがら1 
川崎祐    本と明け方1  ─ 共通の言葉を探す
川瀬慈    イメージの還流
髙橋健太郎     北海道から。沖縄から。1 ─ 北海道と髙橋家
清水裕貴   Bar Landscape Vol.1 ─ 天より形を為して下す物
姫野希美   坂川栄治さんとクレーム・ブリュレ

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私の初めての写真の仕事は、国外の新聞からの撮影依頼でした。掲載された写真は、紙面の半分を占めてレイアウトされており、写真と読者に対する信頼だと勝手に感じた私は、そのことにとても驚きました。りんご通信の原点はそこにあります。それまで写真がそのような扱いを受けている国内の新聞を、少なくとも広告以外では見たことがありませんでした。その差異に私は、情報を複層的に伝えようとするメディアの一つの理想的な形態を見た気がしました。

一枚の写真、あるいは連なりの写真群は、それを見て理解しようとする側の意識をも拒もうとしているかのようでとてもわかりにくいです。その複雑さはまるで、この世界と私たちとの間に存在する理解困難な厚みのある隔たりそのもののように思えなくもありません。

がしかし、反面、今の日本では写真にまつわる印刷物が姿を消しつつあるように思えます。それは同時に、この社会が複雑さを受け止めるのではなく、わかりやすいものを消費するように仕向けられている現実と重なる気がしています。

であるならば今、あえて複雑さを詰め込みながら写真を軸に据えた読み物を定期で刊行してもいいのではないだろうか。そう思い立って作られたのがこのりんご通信です。写真だけでなく、言葉すらも破壊される国にあって、写真と言葉を同時に大切に紡いで行こうとするささやかな抗い、試みだと思っています。


りんごが木から落ちて初めて何かを知った。りんごを口にしてこの世界が一変した。りんご通信が届ける写真と言葉が、皆さんの小さな契機になれば嬉しいです。それぞれのりんごと、香港紙アップルデイリーに敬意を表して。
  

髙橋健太郎(りんご通信 編集長)



以前、松本市に住んでいたとき、駅前に魅力的な酒屋を見つけた。オーナー自ら、長野県内を中心に酒蔵やワイナリーを巡り、醸造の苦労や喜びをつぶさに知り、時間を共にしながら仕入れていた。松本を離れてからも、年に数回、手書きの学級新聞のような案内が届く。酒のこと、酒をつくる人のこと、酒を愉しむ人のこと。私もいつか、こんな「手紙」を出せたらと思うようになった。

ふとした夜の会話から「りんご通信」は生まれた。どんな本も忽然と出来るわけではなく、さまざまな水路が周りにある。その光景をお伝えすることから、会話が始まるのも素晴らしい。
そして、今回設けた「連載」という場が、行方を定めない戦きとともに、一冊を生む土壌となるだろうことも初めてのときめきとなっている。

姫野希美(りんご通信 編集員)

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『りんご通信 6』
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  Editor in chief:髙橋健太郎
  Editor  :姫野希美
  Design:大多和琴

  Cover photo:上原沙也加

  発行:赤々舎

  Size: H406mm × W277mm
  Page:14 pages

  Published in March 2024

¥ 500+tax 

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About Ringo Letter


りんご通信 6号  出来!


待望の6号は、上原沙也加氏の「島のあかり 1 白い街へ」から始まり、場所や名前を時に越え、生きていくことに触れていく切実な感触を身体に残します。

"私はこの島で、生まれるよりも前からずっと、徹底的に破壊されて一度死んだ風景の上で、復元されたものたちといっしょに暮らしてきた。"

さまざまに流れ続ける時間の中、それぞれの見ることが、目の前と過去とこれからをあわせもつ。時に翻りながら、今この場所とその向こうを映し出していくなかに、新たな寄稿者、堀井ヒロツグ氏と大道優輝氏の寄稿も続きます。木村和平氏の連載「わたしは道すがら」は、これまでの暮らしと、次の街の暮らしの間から、引越しの日々を綴り...。

さまざまな時間とともに、歩いていくこの道すがら、りんご通信6の便りを春風にのせてお届け致します。



"街で行き交う人、バスに乗って隣に座った人、広いこの星のほとりで出会った人、手のひらに収まる画面の向こう側にいる光の 中の人。そのそれぞれの生活は向こうでも異なる方法で、鮮やかに明白なまでの当然さをもって進行している。今もそこかしこで喪われてゆく人の生きた時の流れを思い浮かべて、行方を定めず差し出された手紙のようなこのりんご通信が、この世界に根をおろし、ともにさやぐ誰かからのせめてもの報せとなることを願って。 "

(髙橋健太郎 編集後記より)



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「りんご通信 6」

上原沙也加     島のあかり 1 ─「白い街へ」
堀井ヒロツグ からだの波打ち際で
清水裕貴    Bar Landscape Vol.6 ─「忘れたよ」
齋藤陽道    ホットブルー日記
大道優輝         長崎雨情
楠本亜紀         風景を手探る 第3回「南方さん家の方へ」
本吉映理    I am becoming 2
木村和平   わたしは道すがら 6


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