写真集『Anticorps 抗体』完全日本語版が話題のアントワーヌ・ダガタさんの写真展が
東京・渋谷のアツコバルー arts drinks talkにて開催されます。
5月24日(土)にはダガタ氏本人のトークイベントも予定されています。
壁を埋め尽くす写真の圧倒的な存在感を体感していただければと思います。
皆さまぜひ足をお運びください。
アントワーヌ・ダガタ写真展「抗体」
会期
2014年5月23日(金)〜6月30日(月) 7月6日(日) 会期延長となりました!
水〜土 14:00−21:00
日・月 11:00−18:00
火曜定休
入場料
〜19:00 500円(1ドリンク付)
19:00〜 1,500円(1ドリンク付)
ざわざわした気持ちになってほしい
彼の写真を最初に見たとき、この尋常でない力はただの「うまくできた」、でも「かっこいい」、でもない。はらわたから出てきたものだ、と直感した。なぜこ
んなにきつい画像ばかりが、と疑問に思う。リストカットされた手首、ドラッグで痩せ衰えた娼婦、リビア内戦、死体、独房、見るに耐えないものばかり。しか
しそれが彼の生きている現実だ。と知って驚いた。ゆえに惹きつけられるのか? 究極の疎外に生きる人々は独りで生き延びる策を日々学ばないといけない。そ
れが暴力でも、薬でも、売春でも、とにかく生きるということはそういうことだ。誰の助けも絶対こない、闇に追いつめられた彼らの命が光る。ファインダーの
こちら側には、彼らと共に生き、絶望するダガタがいる。時にはカメラを相手に渡し、彼が被写体になる。
おまえは私で私はおまえ。あの時私とおまえが確かにそこにいた。
彼にとって写真というのはそういうことだ。
彼自身、フレンチコネクションの時代のマルセイユで少年時代にドラッグにはまり、極左政治組織に入りテロリストとして活動した過去がある。彼もド
ラッグで何度も死にそうになった。その度にカメラが彼を世界に戻してくれた。写真は彼にとって作品でも商品でもない。地獄に垂らされた唯一の命綱である。
それでも生きている自分の命の証明であり、繁栄の陰には阻害された人々がいる、という自明の理の報告である。彼の世界は確かに特異。世界でも日本の写真家
にもないものだ。マグナムに所属しながら彼はマグナム的な写真の世界に疑問をぶつけている。その礫は私たちにも投げられている。ぜひ見に来てショックを受
けてほしい。ざわざわした気持ちになってほしい。彼の写真を見た後、人は何もなかったかのように生きていくことはできない。
彼はカメラがなければ死ぬだろう。そんな、緊急の表現は、言わばカメラのアールブリュット。
私たちの平和に伸びきった横面を張り倒す。
夜19時半から、ダガタが撮影した日本人女性7人のポートレート「AKA ANA」を上映する。彼女たちの言葉は時に哲学的で深い。ここでしか見られないのでお見逃しなく。会期中、ダガタは日本に滞在してトークショーなどを行うので、ぜひ彼の言葉も聞いてほしい。
アツコバルーは3.11後の社会を生き抜くためにはアートが必要だ。と信じて2013年に開かれた。アントワーヌ・ダガタほどこの場所にあったアー
チストはいない。と思う。彼は飾りもなく、前触れもなく、ただ濃密な生と死を掴みとって、ほれよ!と我々の顔に投げつける。これは冷たく君臨する社会秩序
に対するテロ行為だ。
(2014年3月 アツコ・バルー)
イベント
◆ 特別試写「AKA ANA」(海外版/約60分)
ダガタが撮影した日本人女性7人のポートレート。日本では未発表。
水木金土 19:30-
※19:00以降の入場は¥1,500(1ドリンク付)
◆ トークイベント(会期中2回)
5/24 土 18:00 アントワーヌ・ダガタ
5/31 土 18:00 大塚咲
*トークの時間の前後に映像作品「AKA ANA」を上映します。
17:00 「AKA ANA」1回目
18:00 トーク〈5/24 アントワーヌ・ダガタ〉〈5/31 大塚咲〉
19:30 「AKA ANA」2回目
21:00 close
*入場料は17:00以降、¥1,500(1drink付)です。
「AKA ANA」を観るだけでも、トーク参加だけでも、「AKA ANA」を2回観てトークに参加しても、一律 ¥1,500 です。
*予約 電話 03-6427-8048 / メール ab@l-amusee.com
主催:アツコバルー arts drinks talk
協力:(株)赤々舍、 マグナム・フォト東京支社、(株)堀内カラー、(株)フレームマン
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
Posted at : 2014.06.13 20:04
6月4日付の沖縄タイムス紙にアントワーヌ・ダガタ写真集『Anticorps 抗体』の書評が掲載されました。
執筆は写真評論家の竹内万里子さんです。
ぜひご一読ください。
Posted at : 2014.06.09 17:53
東松照明さんの『太陽の鉛筆』、そして2015年に向けて制作している「新編 太陽の鉛筆」にみる、遥かな問い。
是非ご一読ください。

Posted at : 2014.06.05 20:55
現在発売中のアサヒカメラ6月号に写真集『Anticorps 抗体』のアントワーヌ・ダガタさんの
インタビューが掲載されています。
夜と昼の「暴力」を写す、と題されたこの記事、
ぜひお手に取ってご一読ください。
ダガタさんは現在、東京・渋谷のアツコバルーにて
写真展「抗体」を開催中です。
本日(6月5日)19〜21時にはダガタさんが在廊しており、本人を囲んで飲みながらお話しできます。
会場で写真集をお買い上げくださった方にはサインもしていただけますので、
ぜひ足をお運びください。
Posted at : 2014.06.05 15:39
5月29日、京都事務所で写真をセレクトした。
これまで何度もスカイプでやってきたことを、プリントを共に目の前にして、全点から選ぶ。写真を選ぶのは、まだ揺らげるとわかっていても、重さと痛みを伴う。私が、アントワーヌ・ダガタの映像「AKA ANA」の感想を入口に、会話を重ねようとしたのは、半分はその重さのせいかもしれなかった。二時間余り、「考えつづけることだけが必要」と彼は言いながら、「でも、いま姫野さんと僕がこうしてぐるぐる考えていることも、写真でそれを崩せますよ」と。
写真を選び始める。一気に、迷いを引きずりながらセレクトした後、「全部のなかから10点選びませんか。そうするとより筋がみえそう」となり、300点ぐらいから10点を選ぼうと、「これ」「これ」と繰りながら共に声を出し合ったものの、結局30点ぐらいになってしまった。大事な怖さ。
これとこれがあるのはどうなの? どちらか。 なぜこれが残るのか? 何を見ている?
どうやら20点になったものの、ただそれより先の減数が困難。
「3点、3点だけ、この中からそれぞれが選ぼう」と、(いま、それをやるか?詰めるか?)という運びになり、黙って卓上の写真を見る時間が過ぎる。選んだ。決めたとき、腑に落ちるものがあった。
そして先に、石川竜一が選んだものを挙げていき、2枚目、3枚目で、私は大きく動揺した。完全に一致していたから。
一致してよかった、ではなく、なぜ一致するのかというショック。
感覚も写真の見方も自ずと違うはずの私たちが共に選び出せるとしたら、その写真はどういうもので、どういう存在なのだろうか。傍らにある、写真という穴。
いま130点を選び出している。
私は、それと向き合い、並べながら、私自身を崩せるだろうか。
Posted at : 2014.05.29 22:53