岩根愛『A NEW RIVER FLOWS』

岩根愛『A NEW RIVER FLOWS』


Book Design:町口覚、宮一紀(マッチアンドカンパニー)

発行:赤々舎

Size:H249mm × W174mm
Page:136 pages
Binding:Cloth hardcover

Published in August 2026
ISBN:978-4-86541-234-5

表紙2種類(中身は同一)
2 types of covers(Same Contents)

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About Book


『A New River Flows』は、岩根愛が20年以上にわたり探求してきた「人と自然」「土地と記憶」「生と死」の関係を、新たな写真集の構造として結実させた作品集である。

本書は、2020年刊行の『A New River』と、これまで映像作品として発表されてきた《My Cherry》を初めて一冊に統合し、新作を加えて再構成した。二つのシリーズは互いを照らし合いながら、一つの大きな物語へと編み直されている。

舞台となるのは、東日本大震災後の福島の風景である。しかし、本書が見つめるのは震災そのものではない。自然へと還りゆく土地に身を置きながら、岩根は、若くして自死した妹の記憶と向き合う。その極めて個人的な喪失は、土地に刻まれた歴史や人々の記憶と響き合い、やがて私たち自身の経験へと静かに開かれていく。

岩根の写真には、ドキュメンタリーと幻想、記録と神話、現実と不可視の世界が共存している。川、桜、森、光、花火、そして人々の気配。それらは境界を越えながら、生者と死者、過去と現在、人間と自然を結び直していく。

本書は、写真を出来事の記録としてではなく、記憶を呼び覚まし、時間を重ね、喪失を受け止めるためのメディアとして提示する。『A New River Flows』は、個人の物語を集合的な記憶へと昇華させながら、写真集という形式そのものの可能性を静かに押し広げる一冊である。



 <あたらしい川>と<My Cherry>を織り合わせることで、岩根は自身の個人的な物語をナラティブの中に取り込み、写真という表現媒体への取り組みをさらに発展させている。<My Cherry>は過去数年にわたり数回上映され、2024年のアルル国際写真祭(Rencontres d’Arles)でも上映された。あるインスタレーション作品で岩根は、桜の木々の写真、亡き妹の写真、そしてハワイ島で溶岩に飲み込まれた日系アメリカ人の家族墓地を捉えた映像を組み合わせた。この濃密な重層化によって、彼女は当事者として自身が背負ってきた心の傷を、多くの人が共有する心の傷に統合することができた。まるで、彼女が経験したこと、あの筆舌に尽くしがたい喪失の痛みが、今や共有され得るもの、むしろ共有すべきものであり、生者と死者の両方の集合的記憶の一部となるべきだという事実を受け入れたかのように。

岩根の作品は、亡き者の気配に満ちている。作品に付きまとうこの気配から、暗く不穏な印象を受ける人もいれば、異なる印象をもつ人もいるだろう。とりわけ、愛する人―つまり自分の一部―を失う痛みを経験した人々にとっては、岩根の写真がむしろ生命と光に満ちていると感じられるのではないだろうか。”


ポリーヌ・ヴェルマール(ブルックリン美術館写真部門主任キュレーター)
本書寄稿 「残されたすべての光」より


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出展作家
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まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険 」展

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Artist Information

岩根愛

東京都出身。1991年単身渡米、ペトロリアハイスクールに留学し、オフグリッド、自給自足の暮らしの中で学ぶ。帰国後、1996年より写真家として活動を始める。2006年よりハワイ移民を通じたハワイと福島の関わりをテーマに制作を続け、福島県三春町にも拠点を構える。2018 年、『KIPUKA』(青幻舎)を上梓、第44回木村伊兵衛写真賞、第44回伊奈信男賞受賞。ドキュメンタリー映画『盆唄』(中江裕司監督作品、2018年テレコムスタッフ)を企画、アソシエイト・プロデューサーを務める。

2020年、「あしたのひかり-日本の新進作家Vol.17」(東京都写真美術館)に『あたらしい川』を出展、作品集『A NEW RIVER』(bookshop M)上梓。2021年、第37回写真の町東川賞新人作家賞受賞。

著作に『キプカへの旅』(太田出版)『ハワイ島のボンダンス』(福音館書店)。


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