飯川雄大『大事なことは何かを見つけたとき』&トートバッグ&ぬいぐるみチャーム 3点セット

飯川雄大『大事なことは何かを見つけたとき』&トートバッグ&ぬいぐるみチャーム 3点セット


Book Design:米山菜津子

発行:赤々舎

Size:H257mm × W190mm
Page:216 pages
Binding:Softcover

Published in April 2026
ISBN:978-4-86541-226-0

¥ 7,700(tax include)

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About Book

何気ない風景や身近な物事を注意深く観察することで、人々の認識の不確かさや、社会で見過ごされがちな存在に目を向けさせる作品を制作してきた飯川雄大。
代表的なシリーズ〈デコレータークラブ〉では、巨大なピンクの猫を街中に突如出現させたり、鑑賞者のかかわりによって移動・変化するオブジェを屋内外に設置したりと、立体、絵画、写真、映像等を自由に組み合わせながら、数々の美術館やアートプロジェクトで作品を発表してきました。

2026年春に水戸芸術館で開催された大規模個展、および、それにあわせて刊行された本書では、飯川が2007年より続けてきた〈デコレータークラブ〉という試みが、「大事なことは何かを見つけたとき」という言葉へと置き換えられています。
全貌が見えないまま、偶発的に変化し、観客の思考を誘発しながら展開していく新作インスタレーションを中心とした作品群は、情報の曖昧さや感覚の不完全さを「新たな可能性」として捉える飯川の実践であり、それぞれに「何かに気づく瞬間」をもたらします。
不確かさや、認識が変化する瞬間が生まれるかもしれない状況──それ自体が作品とも言える──に巻き込まれ、時を忘れ、夢中になって遊んでいるかのようにも見える人々の振る舞いとともに写された会場写真もまた、観客の中で未完のまま続いていく飯川作品の一つのかたちとして、単なる記録を超えて息づいています。
さらに、飯川の作品を包括的に紹介し、本人による解説も収録。本書は、作品と、その周囲に生まれた光景を通して、場所や時間を越えて、いつか誰かが、見知った日常とは異なる光景を見つけるための、ひとつの手がかりガイドブックともなることでしょう。

思いもよらぬ出来事に出会ったときの衝撃、生々しいリアリティを持った想いを、私たちはそのことを知らない他者にどのように伝えることができるのか、その(不)可能性をひらいていく一冊です。

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“「あのときのあれは、実はこういうことだったのかもしれない」と気づく瞬間。飯川の作品は、この 「遅れてやってくる合点」の瞬間を、巧妙に設計しているようにみえる。そのために、ここでも「記録しにくさ」が重要な役割を果たす。写真や動画は、その場の光景をいつでも再生できる。しかし、同時に、「もう一度考え直す必要のない出来事」にしてしまう危険も孕んでいる。一方、全貌がわからないまま、因果関係も曖昧なまま経験した出来事は、後日ふとした拍子に思い出される。「あれは何だったのだろう」という問いとともに。飯川作品は、そうした 「未完のまま続く経験」を観客の中に残すために、あえて圧縮に失敗するようにつくられているのではないか。作品の外形を記録することはできても、その経験の続きは、観客自身の脳内回路に委ねられているのである。”

── 石津智大(関西大学文学部心理学専修・教授)
「記録からこぼれおちるものを遊ぶ――飯川雄大《デコレータークラブ》の神経美学」

正体不明とその露見。飯川の作品が観賞者に求める注力――コミットメントは、表現の正体をめぐる拮抗に巻き込まれる。巨大な壁を押しているとき、印象的な瞬間がある。それまで箱の裏に隠れていた天井の照明が、ある線を越えて露わになるとき、光が差して、押している自分を照らすのだ。そこでもう一枚カラヴァッジョを思い出した――《マタイの召命》である。室内にキリストが突然現れ、一介の労働者だったマタイに呼びかけ弟子にする。一体何のことかもわからないまま、マタイはいつのまにか自分を指さす――自分の正体がわかり始めたかのように。マタイに降り注ぐ光は右方から差している。その部屋は収税場であった。

── 大岩雄典(美術家)
「地獄は壁一重」

ギャラリーに向かう道すがら、「作品を全部見られたかどうかわからない……」と話しながら会場を後にする鑑賞者の声を耳にした。どこか楽しそうなその会話は、同時に別の場所での出来事を見ることができない《0人もしくは1人以上の観客に向けて》や、ギャラリーの外へと拡張された 《新しい観客》、限られた時間と場所でしか見られない《うわさを作る》などに向けられたものだろう。《配置・調整・周遊》の前では、行き先を阻む壁に直面し、その場に偶然居合わせた人同士が顔を見合わせ右往左往しながら前進し、それが動いたことへの驚きを思わず声に出していた。このような、飯川の作品がもつ一種の緊迫感によって言語に限らないコミュニケーションが生まれる場面に、私は密やかに美しさを見いだし感動する。

── 畑井恵(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
『「大事なこと」が形になるとき―― 伝わらなさを引き受けた先に』

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Contents


 004  展覧会図版


     作品解説

 146    デコレータークラブ
      一配置・調整・周遊

 147  デコレータークラブ
      一衝動とその周辺にあるもの

 148  デコレータークラブ
      一0人もしくは1人以上の観客に向けて

 150  デコレータークラブ
      ープリングタイム

 151  デコレータークラブ
      ーピンクの猫の小林さん

 152  レフリーストップ

 153  Fade out, Fade up

 154  ウィニングポジションカード

 155  デコレータークラブ
      ーベリーヘビーバッグ

 156  デコレータークラブ
      一新しい観客

 158  うわさを作る



     論考・参考資料

 163    大事なことは何かを見つけたとき
      飯川雄大

 165  飯川雄大作家インタビュー

 171  記録からこぼれおちるものを遊ぶ
      一飯川雄大<デコレータークラブ>の神経美学
      石津智大

 177  地獄は壁一重
      大岩雄典

 179  「大事なこと」が形になるとき
      一伝わらなさを引き受けた先に
      畑井恵

 184  作家略歴


 211  会場マップ/作品リスト
 214  謝辞
 215  フォトクレジット
 217  展覧会開催概要




  004  Exhibition Plates


     Works

 146    Decorator Crab
      一Arrangement, Adjustment, Movement

 147  Decorator Crab
      一Impulse and Things Around Them

 148  Decorator Crab
      一Expecting Spectators

 150  Decorator Crab
      ーPulling Time

 151  Decorator Crab
      ーMr. Kobayashi, the Pink Cat

 152  Referee Stop

 153  Fade out, Fade up

 154  Winning Position Card

 155  Decorator Crab
     ーVery Heavy Bag

 156  Decorator Crab
     一Make Space, Use Space

 158  Making Rumors



     Essays And References

 163    What Matters Most is the Moment You Discover Something
      Takehiro likawa

 165  Artist Interview

 171  Playing With What Slips Through the Record:
     The Neuroaesthetics of Takehiro likawa’s Decorator Crab
      Tomohiro Ishizu

 177  Hell Is a Wall Away
      Eusuke Oiwa

 179  When “What Matters Most” Becomes Form
      一Beyond an Acceptance of Incommunicability
      Megumi Hatai

 184  Biography


 211  Floor Plan/List of Works
 214  Acknowledgements
 215  Photo Credits
 217  Exhibition Information





編集
畑井恵、赤々舎

執筆
石津智大、飯川雄大、大岩雄典、杉原環樹、畑井恵

写真撮影
阪中隆文、飯川雄大

Editor
Megumi Hatai, AKAAKA Art Publishing, Inc.

Text
Tomohiro Ishizu, Takehiro Iikawa, Euske Oiwa,
Tamaki Sugihara, Megumi Hatai

Photo
Takafumi Sakanaka, Takehiro Iikawa



Related Exhibition

飯川雄大「大事なことは何かを見つけたとき」

会期:2026年2月28日(土)〜5月6日(水)

時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)

会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー

休館日:月曜(5/4 [月祝] は開館)



関連動画:YouTubeチャンネル「美術どうでしょう」【完全解説】飯川雄大「大事なことは何かを見つけたとき」|作家と話題の現代美術展を紹介!

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飯川雄大 「デコレータークラブ: 重いバッグの中身」


会期: 2026年4月4日(土)〜5月23日(土)

時間: 11:30〜18:00

 会場: KOTARO NUKAGA(天王洲)、KOTARO NUKAGA Three (東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F &3F)

※日月祝休廊
※GW休廊: 4月26日(日)– 5月6日(水)

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立ち止まり振り返る、そして前を向く | vol.5

飯川雄大|デコレータークラブ:すべて違う姿

会期:2026年4月11日(土)〜6月13日(土)

時間:12:30〜19:00

会場:gallery αM (東京都新宿区市谷田町1-4
武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス 2階)

日月祝休 入場無料

ゲストキュレーター:大槻晃実(芦屋市立美術博物館)

飯川雄大 特別展示「横浜、猫、卓球台」
5月23日まで Art Center NEW(神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1 新高島駅 B1F)にて


Artist Information

飯川 雄大

1981 年兵庫県生まれ。現在、神戸を拠点に活動。2007 年より〈デコレータークラブ〉シリーズを展開。
公共空間や展示の仕組みに目を向けながら、観客の身体感覚や想像力、場の偶発性によって変容する作品を手がけている。代表作に、観客の能動的な関与によって空間や物の在り方を変化させ、新たな関係性を立ち上げる《0人もしくは1人以上の観客に向けて》、視覚の断片を手がかりに空間を読み解いていく《配置・調整・周遊》がある。
主な個展に「未来のための定規と縄」(霧島アートの森、鹿児島、2023年)、「同時に起きる、もしくは遅れて気づく」(彫刻の森美術館、神奈川、2022年)、「0人もしくは1人以上の観客に向けて」(千葉市美術館、千葉、2021)。主なグループ展に「感覚の領域 今、『経験する』ということ」(国立国際美術館、大阪、2022)、「ヨコハマトリエンナーレ 2020」(横浜美術館・PLOT48)、「六本木クロッ シング 2019 展」(森美術館、2019年 ) などがある。
2026年は、水戸芸術館現代美術ギャラリー「飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき」、KOTARO NUKAGA(天王洲)「デコレータークラブ:重いバッグの中身」、gallery αM「飯川雄大|デコレータークラブ:すべて違う姿」の3つの個展を同時期に開催。
神戸市文化奨励賞(2023 年)、兵庫県芸術奨励賞(2022 年) 、高嶺格賞(ゲンビどこでも企画公募展/広島市現代美術館 2017 年)受賞。広島市現代美術館、高松市美術館に作品が収蔵されている。


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