石川竜一『ヨ』

石川竜一『ヨ』


Book Design:町口景

発行:赤々舎

Size:H282mm × W228mm
Page:104 pages
Binding:Hardcover

Published in June 2026
ISBN:978-4-86541-233-8

¥ 5,000+tax

国内送料無料!

【国内/Domestic Shipping】

お支払い方法は、PayPal、PayPay、Paidy
銀行振込、郵便振替、クレジットカード支払いよりお選び頂けます。

【海外/International Shipping】

Please choose your area from the two below

About Book

石川竜一にとって、ポートレートは重要なテーマであり続けてきた。私たちは写真に写る人を見て、その人が誰であるのかを知ろうとする。年齢や性別、装い、表情、生活の痕跡から、その人について何かを読み取り、意味を与えようとする。しかし、そうした言葉や解釈を重ねても、なお残るものがある。細部まで克明に写し出されるほど、その人はむしろ、何者であるかという理解からこぼれ落ちていく。見えているのに、わからない。目の前の人は、自分の理解には回収しきれない他者としてそこにいる。

皮膚の湿度、身体に宿る緊張、筋肉の張り、視線の強さや揺らぎ。光が物に触れ、反射し、カメラへと届く。
写真に定着された物質の質感は、見る者の身体にも働きかける。物質的であると同時に、現象的であること。
客観としてそこにあるものが、見る者の主観に触れ、感覚を生じさせること。

石川はその経験を考えるなかで、主観的に経験される感覚の質「クオリア」へと向かい、さらに、畏怖や魅惑を伴う「聖なるもの」、説明することのできない他者性へと思考を重ねていく。聖性とは、誰かがあらかじめ所有している特別な属性ではない。見ることのなかで、不意に立ち上がる経験の質なのだ。

見られるものと見るもの。物質と感覚。客観と主観。そのあいだで、起きていること。写真に写る身体は、ただ観察される対象なのではなく、知覚の媒体となって見る者の身体へと触れてくる。そこには、言葉によって意味づけられるより前に、確かに現れている何かがある。

石川はそれを「∃」と記し、「よ」と読む。論理学では「存在する」ことを示す記号である「∃」を、石川はここで、「存在」にさえ先立つ「表し難い現れ」へと開いていく。それは何者かという分類からこぼれ落ち、言葉や記号によって尽くされることなく、それでも確かに、こちらに触れてくるものだ。

何が写っているのかではなく、なお、そこにあるもの。『ヨ』は、人を撮り続けてきた石川竜一が、写真に写るものと、それを見る者とのあいだに立ち現れる、名づけることのできないものへと触れようとする一冊である。



“量化記号 「 ∃ 」 は、数学や論理学において「〜が存在する」(少なくとも1 つ存在する)を意味する記号である。Exist(存在する)の頭文字 E を左右反転させた記号で、「存在記号」とも言われる。(中略)

写真は、世界に存在する何か( ∃ )を肯定している。人間が生きているということは、ジグソーパズルのピースのようにこの世界の一部を物理的な空間として構成していることでもあるからだ。


アナタハ イマ ココニ イル
アナタハ イマ ココニ イテ イイ
アナタハ イマ ココニシカ イナイ

石川竜一の写真は、人間存在を、生そのものを、ただひたすらに肯定しているのだ。

稲葉俊郎(医師 医学博士 慶應義塾大学 SDM 特任教授)
本書 寄稿「絶対的な存在の肯定」より抜粋


Related Exhibiton

石川竜一 写真展「よ」

会期:2026年6月20日(土)~7月11日(土)

時間:11:00〜20:00

会場:SAI(東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F)

入場無料

<関連イベント>

7月4日(土)16:00〜17:30
ゲスト:東出昌大 氏

7月5日(日)14:00〜15:30
ゲスト:畠山直哉 氏

石川竜一写真展「よ」インタビュー
(Photo & Culture, Tokyo 7月3日 更新)


Artist Information

石川 竜一

1984年沖縄県生まれ。2010年、写真家 勇崎哲史に師事。2011年、東松照明デジタル写真ワークショップに参加。2012年「okinawan portraits」で第35回写真新世紀佳作受賞。2015年、第40回木村伊兵衛写真賞、日本写真協会賞新人賞受賞。

主な個展に、「RYUICHI ISHIKAWA」(gallery ラファイエット 沖縄、2014)、「zkop」(アツコバルー 東京、2014)、「okinawan portraits 2010–2012」(Place M 東京、2014)、「絶景のポリフォニー」(銀座ニコンサロン 東京、2014/大阪ニコンサロン 大阪、2015)、「okinawan portraits」(The Third Gallery Aya 大阪、2015)、「A Grand Polyphony」(Galerie Nord パリ、2015)、「okinawan portraits 2012–2016」(三菱地所アルティアム 福岡、The Third Gallery Aya 大阪、AM 東京、エプソンイメージングギャラリー エプサイト 東京、2016)、「Camp & Okinawa」(Have a nice GALLERY 台北、2016)、「草に沖に」(地点 京都、2017)、「zkop: a blessing in disguise」(Yamamoto Keiko Rochaix ロンドン、2018)、「OUTREMER|群青」(The Third Gallery Aya 大阪、2018)、「home work」(地点 京都、2018/The Third Gallery Aya 大阪、2019)、「草の肌」(ギャラリーKTO 東京、2021)、「いのちのうちがわ」(SAI 東京、2021/The Third Gallery Aya 大阪、2022)、「風土 人間の殻」(ふげん社ギャラリー 東京、2023)、「KG+ 2024 いのちのうちがわ」(京都場処 京都、2024)、「風景とわたし」(GALLERY KTO 東京、2025)など。

主なグループ展に、「木村伊兵衛写真賞40周年記念展」(川崎市民ミュージアム 川崎、2015)、「OKINAWA : UNE EXCEPTION JAPONAISE」(Le Plac’Art Photo パリ、2016)、「BODY/PLAY/POLITICS」(横浜美術館 横浜、2016)、「六本木クロッシング2016展 僕の身体、あなたの声」(森美術館 東京、2016)、「Looking at Borders」(Casa Asia キューバ、2017/ロシア国立東洋美術館 モスクワ、2017)、「日産アートアワード2017:ファイナリスト5名による新作展」(BankART Studio NYK 横浜、2017)、「Fotografia Europea 2019」(Chiostri di San Pietro レッジョ・エミリア、2019)、「Oh!マツリ★ゴト 昭和・平成のヒーロー&ピーポー」(兵庫県立美術館 神戸、2019)、「作家と現在 ARTISTS TODAY」(沖縄県立博物館・美術館 那覇、2019)、「Reborn Art Festival 2019」(石巻、2019)、「想像力という<資本>」(もうひとつの京都 八幡、2021)、「Still Alive 国際芸術祭 あいち2022」(愛知芸術文化センター 名古屋、2022)など多数。

主な写真集に、『絶景のポリフォニー』、『okinawan portraits 2010–2012』(2014)、『adrenamix』(2015)、『okinawan portraits 2012–2016』、『いのちのうちがわ』(2021)、『zk』(2022、ともにすべて赤々舎刊)、『Camp』(Slant 2016)、『Sunset』(2025 bookshopM)などがある。


Related items